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「月山筍」甘みは山の手入れから

「毎日でも飽きない。わが家では肉が入っていないのに子どもたちも食べる。それだけおいしい食材だと思います」。鶴岡市朝日地区の「産直あさひ・グー」に月山筍(だけ)を出荷している渡部小枝(さえ)さん=下名川=はこう話した後、「生産者は私になっていますが、栽培から収穫までほとんどは祖父がやっています」と打ち明けた。

全国でササダケ、地ダケなどと呼ばれるネマガリ(根曲がり)ダケは地方によって方言が多い。庄内では月山周辺で採れる月山筍がブランドになっている。他の地区のササダケに比べ太く、味もよいとされる。

渡部さんは、湯殿山スキー場にほど近い田麦俣地区の畑で栽培している。雪解けを待って収穫が始まる。今年は初収穫が連休明けにずれ込んだ。地表から顔を出したタケノコは全体の3分の1ほどにすぎない。残り3分の2は地中にある「白身」というやわらかい部分だ。

新鮮な月山筍はこの時期の産直あさひ・グーの目玉。手前は渡部さんが作ってくれたいため煮

新鮮な月山筍は根元が違う。「切り口が茶色くなっているのは新しくない証拠。新鮮なものはつやもあります」と解説する。孟宗(もうそう)以上に鮮度落ちが早い。

月山筍の料理といえはみそ汁や天ぷら、タケノコご飯が「定番」。渡部家の天ぷらは、生のまま揚げるのと一度ゆでてから揚げるものと2タイプある。「私は生派ですが、母はゆでたタケノコを揚げています。歯が弱い人はその方が食べやすいのかもしれません。2人の子どもも天ぷらは大好物。月山筍とタラノメはあっという間になくなってしまいます」と笑う。

渡部さんのおすすめレシピは月山筍のいため煮。「この辺ではけんちんと言います。タケノコだけを使ったぜいたく料理かもしれませんね」。砂糖の代わりにはちみつを使うのが「裏技」だ。渡部家ではウドやウルイのクルミ和えにもはちみつを入れる。「そうするとコクが出る」のだそうだ。

いため煮をいただいた。さくっとした歯ごたえ。しょうゆの味がよくしみていて、ご飯にも酒のつまみにも合いそうだ。「もったいないなあ」とつぶやきながらもついお皿に手が伸びてしまう。

素材の良さを味わう料理法として焼きタケノコを教えてくれた。「皮をむかずに先っぽに包丁を入れて焼いてください。塩やみそマヨネーズでどうぞ」。家に帰ってさっそく試してみた。新鮮な月山筍ならではの甘さはまさに絶品。至福の時を味わうことができた。「シンプル・イズ・ベストです。掘りたてでないとできませんが」というのもうなずけた。

「きちんと手入れしないといいタケノコは取れません。化学肥料は使わず、鶏糞などをやり、下刈りも欠かせません。山にある本来の姿に近い形で栽培するよう心掛けています」と栽培上の苦労を語る。

グーでは300g 380円、むいたものは100g 200円前後で販売している。施設内の食堂では山菜そばや、天ざるなどに月山筍やワラビ、アイダケ、ウドなど旬の山菜が使われている。

渡部さんの月山筍は今月末までだが、その後も山間地の栽培物が続き、6月下旬ごろに「山からしょって降りて来る」自生に切り替わる。

渡部さんのおすすめレシピ

月山筍のいため煮

○材料

月山筍500g(皮をむいた後の重さ)、酒1/2カップ、しょうゆ、はちみつ大 さじ2、かつお節、水1/3カップ、サラダ油

○作り方

  1. 月山筍をむく。穂先に斜めに包丁を入れ、上から皮をむくとやりやすい。沸騰した湯でさっとゆでる。1分ぐらいが目安で火が入りすぎないようにする。
  2. 鍋にサラダ油を入れ、月山筍、しょうゆ、酒、かつお節、水1/3カップ(お好みでだししょうゆも)を入れ、必ずふたをして中火で10分ほど火を通す。
  3. 最後にはちみつを加え、煮汁がなくなり、筍に味がしみたらできあがり。(かつお節も筍と一緒に召し上がってください)

2006年5月27日付紙面掲載

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