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「水菜」くせなく彩りもよし

今を去ることウン十年前。京都で過ごした学生時代、アルバイト先の晩ご飯に、水菜の漬物が添えられたことがあった。田舎から出てきた貧乏学生はその美しさに驚き、初めての味に感動した。

「見た目がきれいですから、作っていても楽しいし、おもしろい。やはり京野菜だなと思います」。酒田市のヨッテーネとみどりの里「山居館」で水菜を販売している渡部由美子さん=吉田=がほほえんだ。

水菜の別名は京菜。京都では取れる地域によって壬生(みぶ)菜とも呼ぶ。庄内でも最近、栽培が盛んになり、1年を通じて店頭で見るようになった。

渡部さんは栽培歴10年以上を誇る。産直での販売をにらみ、「新しいものをやってみたい」と始めた。夏のんめ茶豆(枝豆)、秋の新米に続く冬場の葉野菜の主力としてハウスで栽培している。

葉がのこぎりの葉のような京野菜の水菜

「水菜は種をまいた後は、農薬も消毒も必要もありません。手がかからない野菜です。でも、暖房しないので朝のハウスはとても寒い。朝露が付いている日は、手が冷たくて泣きたくなります」と苦笑いした。

ハウスに連れて行ってもらった。名前から水を張って栽培しているのかと思ったが、小松菜など普通の葉野菜と変わらない。渡部さんが土から手で抜いた。株から茎の部分は白、黄緑色の葉はのこぎりの刃のような形だ。根元が真っ白でみずみずしさにあふれている。

水菜は、株の大きさで大株取りと小株取りに分かれるのだそうだ。渡部さんが植えているのは小株取り。「本場の京都にならいました。複数の株を合わせて出荷するんです。小株の方が軟らかいので、サラダなど生食に向いていると思います」と教えてくれた。

水菜の調理法について尋ねると、「くせがない万能野菜ですから何にでも合います。漬物はもちろん、サラダや鍋物、いため物、グラタンにも使えます。熱を通しすぎないようにして、シャキッとした歯ごたえ、食感を楽しんでください」という答えが返ってきた。

おすすめレシピは「当たり前すぎて逆にやらないんじゃないかしら」というゴマあえ。「家庭で好みがあるでしょうから、調味料の分量は『ベロメーター』で調整してください」。

帰宅後、いただいた水菜でツナサラダを作った。出来上がる直前のけんちん、焼きうどんにも投入。彩りがとてもいい。料理に野菜が入ると文句を言う子どもたちが何も言わずに食べていた。水菜恐るべしである。残った水菜は浅漬けに。本日の帰宅後が楽しみだ。

水菜は、栄養価からみてもビタミンAとC、鉄分、カルシウム、カリウムを多く含み、食物繊維も豊富な優れもの。渡部さんは「鍋物に入れてもシュンギクのようにアクは出ません」と推奨する。料理は「火はさっと」がポイントのようだ。

寒さが増すと鍋物需要でよく売れるという渡部さんの水菜は200グラム入って1束105円。酒田市中町一丁目のヨッテーネ=電0234(24)8371=と同山居町一丁目の山居館=同(26)6222=で販売している。

渡部さんのおすすめレシピ

水菜のゴマあえ

○材料

水菜、ゴマ、砂糖、しょうゆ、みりん

○作り方

  1. 塩を入れたたっぷりのお湯で水菜をさっとゆでる。
  2. ゆであがった水菜を冷水にさらし、軽くしぼったら2~3cmの大きさに切っていく。
  3. すり鉢でゴマをすり、砂糖、しょうゆ、みりんを加え、その都度すって調味液を作る。
  4. 切った水菜に3をかける。

2008年12月13日付紙面掲載

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