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「シャンツァイ」やみつきになるハーブ

フキノトウが地面から顔を出し、「香気好き」の季節がやってきた。今回、取り上げるシャンツァイという野菜は、中国、東南アジア系の料理によく使われるハーブ。香気好きには耳より情報のはずだ。

酒田市の食彩工房「いちご畑」でシャンツァイを販売している渋谷こう子さん=飯森山二丁目=とは、いちご畑にほど近い中華料理店で待ち合わせした。初めて出合う野菜について「予習」するため、いちご畑に立ち寄った。ミツバのような野菜のパックにシャンツァイ(香菜、コリアンダ)と書いてある。耳にしたことがある単語だ。

「中国でシャンツァイ、タイではパクチーと呼んでいます。エジプトやアジア、中近東で広く使われているようです。有名なのはタイのトムヤンクンでしょうか。スープにたっぷり入っていますよ」。渋谷さんが笑顔で迎えてくれた。

中華料理店「歓館」の店主・岡路雄さんと渋谷さんは、岡さんが今の場所に店を構える前からのつきあいだそうだ。「『手に入らない野菜ある?』って聞いてみたら『シャンツァイかな』という返事。それで栽培を始めてみました」といたずらっぽく笑った。

外観はミツバのようなシャンツァイ

未知の野菜は簡単に育たず失敗の連続。栽培開始から5年目の今冬、ようやく出荷できるようになった。あらためて見せてもらうと、色と形はやはりミツバにそっくりだ。

どんな料理に使うのだろうかと思っていると、渋谷さんが「生の香りをかいでみてください」と持参したシャンツァイのパックを開けた。顔の近くに持ってくると、何とも言えない香りが鼻腔をくすぐる。「たとえようがないでしょう」という言葉にうなずく。不快な香りではない。

そんな話をしていると、中華がゆが運ばれてきた。すすめられ、刻んだシャンツァイを薬味で入れてみた。おかゆに清涼感が加わり、エスニック料理の趣が漂い始めた。「やみつきになりそうでしょ」と言われ、またうなずく。「香気好き」を見破られたらしい。

シャンツァイを使ったレバニラいため、鶏の空揚げ、ギョーザも登場。「油で加熱すると味が引き立ちます。でも火を入れすぎるとだめ。一瞬の勝負です」と渋谷さん。料理にアクセントが付き、とてもおいしい。

岡さんは「独特の香りと甘みがあります。テンメンジャンや腐乳などくせが強いものと合わせるのがいいでしょう」と、プロの立場からアドバイスしてくれた。お店では「好き嫌いが分かれるので、予約のコース料理に入れるぐらい。後は自分で食べます」と笑う。中華料理をメーンにしたホームパーティーで使ったら楽しそうだ。二日酔いの予防、血行促進、免疫機能の強化などに「薬効」があることも分かった。

帰宅後、家族に食べさせようとしたら「ドクダミみたいな香りだ」とそっぽを向かれた。自分だけやみつきになるのは何とも悔しいが、しばらくいちご畑に通い詰めになりそうだ。

「分かる人が買って食べてほしい」と渋谷さんが話すシャンツァイは30グラム入って180円。「分かる人」なら「安い」と驚くだろう。酒田市坂野辺新田のいちご畑=電0234(41)0283=でミツバ、セリ、クレソンとともに販売している。

渋谷さんのおすすめレシピ

シャンツァイの簡単スープ

○材料

シャンツァイお好みの量、鶏ガラスープ1カップ、塩、黒コショウ各少々、鶏モモ肉80グラム

○作り方

  1. 鶏ガラスープに水1カップを加え、沸騰したら小さく切った鶏モモ肉を入れて煮る。
  2. 火が通ったら塩、コショウで味を調える。
  3. 器にあらみじん切りしたシャンツァイを入れて熱々のスープを盛る。

メモ

ご飯を入れて煮て中華かゆ風にしてもおいしい。

2009年3月7日付紙面掲載

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