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「サンマルツァーノ」 火を入れて真価発揮

子どものころ、トマトが野菜と知って驚き、「生でしか食べないのになぜ?」と疑問を抱いたことがある。暑い夏の日、よく冷えたトマトにかぶりつく。これぞトマトを食べる醍醐味と思っていたが、そのイメージが覆された。今回取り上げるのは、火を入れて真価を発揮するイタリア生まれの「サンマルツァーノ」だ。

「缶詰などの加工品以外、一般にはほとんど出回っていません。日本国内で改良されたのを栽培している人はいるようですが、うちではイタリアから種を取り寄せてもらったものです」。遊佐町の道の駅「ふらっと」でサンマルツァーノを販売する伊藤大介さん=小原田=が胸を張る。

伊藤さんはハウスで7種類のトマトを栽培している。サンマルツァーノの特徴について「水分とゼリー部分が少ないんです。火が通ると酸味が消え、甘みとうまみが出ます。生で食べて『これはこれでいける』という人と『ちょっと』という人に分かれます」。解説を聞いているうちに、まだ見ぬサンマルツァーノに対する好奇心がふくらんでいく。

ハウスに到着後、収穫したサンマルツァーノと「対面」した。色も形も普通のトマトとは違う。形は、くびれがないピーマンとでも言えばいいだろうか。色は赤が強い。トマトというより、パプリカの赤色に近い。

「どうぞ」と言われ、生のサンマルツァーノを口に入れた。皮が厚く、かんだ瞬間、強い酸味を感じた。好みもあろうが、生食には向かない気がした。

どんな食べ方が合うのだろう。「トマトソースを作ってしまえば、いろんな料理に使えます。パスタはもちろん、カレールーに入れてもおいしい。市販のものとは全く違いますよ」。おすすめレシピを見ていただければ分かるが、作り方はいたって簡単、難しい技術は必要ない。

「そのままスープにしてもいいですよ。皮をむいて適当な大きさに切り、ナスやピーマン、パプリカ、カボチャなどの野菜と一緒にどうぞ。コンソメを加えてもいいですが、トマトから味が出るので、塩コショウで食べてほしい。お好みで鳥肉や粗びきウインナーを入れてください」。食べる時にとろけるタイプなどのチーズ類を添えてもいいようだ。

翌朝、さっそく野菜スープを作ってみた。サンマルツァーノの皮は、へたの部分を包丁で切り、湯通しすると簡単にむけると聞いた。やってみると、枝豆みたいに簡単にむけておもしろい。

細長くピーマンのような形をしているサンマルツァーノ

サンマルツァーノに、伊藤さんにいただいた黄色のパプリカ、帰りに直売施設で買ったキュウリ、ナスを加え、塩コショウで味付けした。トマトはじっくり煮て、ほかの野菜はさっと火を通す。

口に入れるとあら不思議。トマトの酸味が抜け、甘みが出て、スープに味がしみている。「野菜のオーケストラ」が奏でるハーモニーを堪能。普段、野菜をあまり食べない子どもの評判もよかった。新鮮野菜の底力だろうか。次回はぜひ、ソース作りに挑戦し、パスタやカレー、ピザなどに使ってみたい。

ふらっとでも伊藤さんしか作っていないサンマルツァーノは、秋まで500g入り300円で販売している。

伊藤さんのおすすめレシピ

サンマルツァーノのトマトソース

○材料

サンマルツァーノ500g、塩適宜

○作り方

  1. サンマルツァーノを沸騰した湯に入れ、1分程度ゆでて冷水に取る。
  2. 皮をむいてからジューサーミキサーにかける。包丁でみじん切りにしてもよい。
  3. 弱火でコトコト煮詰める。好みで塩を入れる。

2007年8月4日付紙面掲載

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