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「サトイモ」粘り強く食感に違い

山形の秋の味と聞かれれば、いも煮を思い浮かべる人は多いだろう。豚肉みそ味の庄内風、牛肉しょうゆ味の内陸風。どちらがうまいかは、それぞれの判断にゆだねるとして、主役のサトイモは欠かすことができない。今回は、庄内産のうまいサトイモを紹介する。

「うちのサトイモは10月に入らないとおいしくならない。いも煮会シーズンの開幕に間に合わないのはちょっと残念です」。三川町の物産館マイデルに出荷している佐藤明子(めいこ)さん=土口=が苦笑いする。

転作田を利用して15年ほど前からサトイモを栽培している。「植えてしまえば手間がかからない。農薬も使わないし、消毒もしません」という完全無農薬栽培だ。

自宅を訪問する前にマイデルをのぞくと、佐藤さんのサトイモが置いてあった。大ぶりで形がよくきれいだ。感想を話すと、「そう言ってもらえるとうれしいですね」とはにかんだ。

株ごと収穫してきたサトイモを見せてもらった。実がびっしりと張り付いている。「親株に付いた実を最初に取り、その後で脇から子株が出てきて、孫株と続きます。孫株の実が一番おいしいようです」と教えてくれた。

サトイモの料理は好きだが、皮をむくのが苦手だ。手がかゆくなるし、滑るのでいらいらが募る。「知っている人も多いと思いますが、熱湯を通すとかゆくありません。2、3分ぐらいゆでると手でぽんとむけます」と教えてくれた。

佐藤家ではいも煮がメーンで、後は煮っ転がしにすることが多いとか。おすすめレシピはサトイモの包み揚げ。「マイデルの仲間の知恵を借りました。温かいうちに食べて」。

外観はコロッケに似ている。口に入れるとねっとりした独特の粘り気があり、中からひき肉とネギが出てきた。ジャガイモのコロッケとはひと味違う食感だ。「子どもたちがおいしい、これがサトイモと喜んで食べてくれました」というのもうなずける。

ふかしただけというサトイモを青ジソの葉を刻んで練り込んだ自家製の「シソみそ」に付けていただいた。サトイモの味がよく分かり、酒のつまみに向きそうだ。

1株にびっしり実が付いている佐藤さんのサトイモ。手で簡単に取れた

「皮をむいてある袋入りのサトイモとは全然違います。試してみてください」。佐藤さんのサトイモを1株丸ごとちょうだいした。お湯で煮てからザルにあけ、熱があるうちに皮をむく。おもしろいようにつるりと取れた。

いも煮にして食べてみると粘り気がすごい。適切な表現と言えるか分からないが、わが家では「もちみたい」という感想と、「煮っ転がしにして、素材そのものの味を味わいたい」というリクエストが出た。イモそのものの食感も袋入りとは全然違う。皮をむくという手間をかける価値はあると断言できる。

見た目もきれいな佐藤さんのサトイモは、1kg入り250~300円。マイデルで来年1月まで販売しているから、年末年始にも重宝しそうだ。

佐藤さんのおすすめレシピ

サトイモの包み揚げ

○材料

サトイモ、ネギ、ひき肉、塩、コショウ、しょうゆ

○作り方

  1. サトイモを皮付きのままゆでてザルに取り、熱があるうちに皮をむく。
  2. すり鉢に入れてすりこぎでつぶす。
  3. ひき肉と刻みネギを炒め、塩、コショウ、しょうゆで味を付ける。
  4. すりつぶしたサトイモをのばして3を包む。
  5. 小麦粉、卵黄、パン粉を付けて油で揚げる。

メモ そのままでもいいが、ソース、マヨネーズなどを付けるとおいしい。

2007年11月3日付紙面掲載

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