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「長芋」甘みとうまみたっぷり

冬場はごはんと一緒に長芋が無性に食べたくなる。「長芋に限らず、うちの野菜は生食ができておいしいですよ」。鶴岡市内の3カ所の産直館に長芋を出荷している佐藤公一さん=茨新田=が胸を張る。

若いころは関東地方で造園業などに従事していたが、祖母の死を機に帰郷。就農から3年と期間は短いが、新進気鋭の青年農業者と呼んでいいだろう。両親と一緒に「植酸農法」と呼ばれる有機農業に取り組み、安全でおいしい野菜を消費者に提供している。

植酸農法は、特別の肥料を使い、有機酸で根の活力を高める民間農法。「有機酸の働きで、作物が健康に育つようにするんです。化学肥料と農薬は限りなくゼロに抑えます」。安全な野菜は消費者にとっても大歓迎。

気になる味の方は、という質問に「あくが少なく、甘みとうまみが出ます」と自信たっぷりに答えた。植酸農法に取り組む庄内地方の生産者とグループも結成している。

水っぽさがない佐藤さんの長芋。朝ごはんのお供に最適だ

グループの野菜は、食の都庄内親善大使の奥田政行シェフにも届けられる。今月中旬、講談社が発行する週刊誌「週刊現代」に、佐藤さんが育てた完熟ホウレン草を使った奥田シェフの料理が紹介された。佐藤さん一家の写真も添えられている。

収穫した野菜は主に、地元の卸業者経由で首都圏に送られ、百貨店などで販売されている。産直館には年明けから父親の覚さんの名前で出荷している。

冬の主力作物の一つが長芋。春に種イモを植え、つるが出てくると高さ2メートルほどの竹にからめてやる。成長に従い竹はしなり、メロン栽培のトンネルのように半円を描く形で地面に付く。「つるがしっかりしているとイモの成長もいいんです」。12月から注文に応じる形で掘り出す。「このところの雪で作業が倍になった。大変ですよ」と苦笑いする。

長芋も葉物のように鮮度が大切なのだろうかという疑問に「収穫直後はみずみずしさがあり、その後でうまみが凝縮されていく。好みでしょうね。でも、産直ならスーパーと違い、掘りたてを味わうこともできます」という答えが返ってきた。

とろろや短冊切りなど長芋の料理法は限られる。おすすめレシピは無理かと思ったが、「グループの集まりでしゃぶしゃぶにして食べてみたら『これおいしい』という声が出ました。素材の良さが味わえると思います」。なるほどおもしろそうだ。「でも、長芋だけのしゃぶしゃぶは寂しいな」と口にすると「あっはっは、それもそうですね。季節の魚や肉と合わせたらどうでしょう」。大小、太さは味には関係ないそうだ。

翌朝、いただいた長芋をすりおろして食べてみた。たまに水っぽい長芋に当たることがあり、不満に思っていたが、佐藤さんの長芋はたっぷりの肥料で育てられたせいか、味も濃く豊かだった。普段よりしょうゆも少なめで足りたと思うのは気のせいだろうか。

白山店と駅前店、のぞみ店の3軒の産直館で1kg前後450~500円で販売している。やや高い価格設定も納得の味。ほかにニンジン、金時ニンジンもあり、2月になれば「のり巻きののりの代わりに生のままごはんに巻くとおいしい」という完熟ホウレン草も出る予定。

佐藤さんのおすすめレシピ

長芋のしゃぶしゃぶ

○材料(2人前)

長芋、ポン酢、ゴマだれなど好みの調味料

魚介類や薄切り肉

○作り方

  1. 長芋の皮をむき、薄くスライスする。
  2. お湯を火にかけ、好みの具材を入れる。
  3. 切った長芋を湯にさっとくぐらせながら、ポン酢、ゴマだれなどに付けて食べる。

2008年1月26日付紙面掲載

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