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「キラリボシ」苦み楽しむ「つぼみ菜」

食用菜の花の「なばな」を昨年2月に紹介した。花が開いた菜の花を食べたのは初めてで、「品の良い苦み」に衝撃を受けた。今回は、花が咲く前、つぼみの状態で食べる菜の花「キラリボシ」を紹介する。

キラリボシは、町の花・菜の花で地域おこしに取り組む三川町で導入された新品種。体に好ましくないとされるエルシン酸とグルコシノレートという2つの成分を抑えた点がセールスポイント。「環境や体に良い品種」を掲げたキラリボシを使ったこだわり菜種油の原料になる。

「若いころから菜種油用の菜の花は作っていて、そのころから野菜として食べていました。だから自分の心にはずっと菜の花の存在があったんですよ」。三川町の物産館マイデルにキラリボシを出荷している山口たかさん=菱沼=にとって、菜の花は愛着がある作物だった。

ハウス内で無農薬栽培される山口さんのキラリボシ

菜種油用菜の花の作付けは昭和30年代以降、大豆の輸入自由化などにより、全国で減少の一途をたどった。三川町では「景観作物」として着目。春の大型連休前後、幹線道路添いで鮮やかに咲き誇る菜の花がドライバーの目を楽しませてきた。

山口さんは、栽培しているキラリボシをすべて「つぼみ菜」で出荷している。「若芽と茎を食べるキラリボシは、なばなより食べやすいと思います」と太鼓判を押す。

山口さんのハウスに連れて行ってもらった。茎の色は、緑というより黄緑に近い。「塩を入れてゆでると、きれいな緑色に変わり、くせもなくなるようです。そのまましょうゆで食べてもいいし、鶏のささみとごま和えにしてもおいしい。いため物にするなら、私はゆでたものを使います。緑が映えますから」とにっこり。

山口さんのおすすめレシピはかき揚げ。「子供たちはソーセージを多めに入れると喜びます。みそ汁や生のまま海藻サラダにしてもいいですよ」。

ハウスで遊んでいた小学3年のお孫さんにキラリボシについて聞いてみると、「ちょっと苦いけど、しょうゆで食べるとおいしいです」とハキハキと答えた。

帰宅後、教えられた通り、塩を入れてゆでてみた。黄緑色が鮮やかな緑へ変わる。マヨネーズで食べてみる。前日にゆでておいたなばなと食べ比べた。言葉ではうまく表現できないが、苦みのタイプが異なる。「春を告げる」という共通点はあるものの、違う野菜に思えた。キラリボシの方は、アスパラ菜を思い浮かべてもらうとイメージがわくかもしれない。

中華風に仕上げたいため物もよかったが、個人的には葉はゆでて、茎はいためて持ち味を発揮すると思えた。いろんな食べ方ができる懐の深い野菜と言えそうだ。

山口さんを取材する直前、ある農家に「つぼみ菜療法」という花粉症対策を紹介してもらった。菜の花はもちろん、春先のつぼみ菜が効果的で、回復したという人も多いらしい。花粉症に悩む一人としてぜひ試してみたい。

山口さんのキラリボシは250g入って1束100円。5月末まで三川町横山のマイデル=電0235(68)2500=で販売している。キラリボシの「一番搾り」で作った菜の花油もマイデルで扱っている。

山口さんのおすすめレシピ

キラリボシのかき揚げ

○材料

キラリボシ、ニンジン、タマネギ、魚肉ソーセージ、小麦粉、 かたくり粉、卵

○作り方

  1. 材料を適当なサイズに切る。キラリボシは2cmぐらいに。
  2. 油を入れた鍋に火を入れ、180度まで熱する。
  3. 小麦粉とかたくり粉、卵をボウルに入れ、水を足す。水は少なめの方がよい。
  4. ボウルに材料を入れてカラリと揚げる。

2008年4月5日付紙面掲載

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