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2種類あるクボガニ

読者の方から「今年はサケのハララゴ(腹子)が安いようですが、大漁だからでしょうか」という質問をいただきました。大漁だから安いのではなく、どちらかというと、サケはそれほど獲れていません。ではなぜハララゴが安くなったのかというと、外国が関係してきます。ヨーロッパではサケの養殖が盛んでしたが、最近は自然食ブームで天然のサケが求められるようになりました。そこで日本国内で卵を取った後の「カラ」と呼ばれるサケが、中国経由でヨーロッパに輸出されています。それまでは卵しかお金になりませんでしたが、身も売れるようになったため、ハララゴの価格が下がっているのです。この傾向は今後も続くでしょう。うれしいことですね。

10月に入り、庄内浜でズワイガニ漁が始まりました。地元ではヨシガニ(芳ガニ)という名がついています。これは主にオスのズワイで、メスはクボガニと呼びますが、全国的にはメガニが通り名です。子が未成熟なメガニはゼニガニと呼んで区別しています。

クボガニにはクロコとアカコの2種類があり、腹をめくってみてウチコ(内子)が黒いのがクロコ、赤いのがアカコです。クロコは卵を抱いて間もないもので、高級品として扱われ、ほとんどが金沢方面に出荷されています。県の水産試験場に聞いたら、卵を抱くことを専門用語で発眼と言うそうです。地元で流通しているものはアカコが大半です。今は旬なので、クロコもアカコも同じようにおいしいと思います。

地物のズワイガニ

ズワイガニは庄内ではキロ単位で売られていますが、北陸や新潟では1匹いくらで流通しています。金沢では由良産のズワイは評判が良く、しかも有名だそうです。カニの場合、足が折れてしまうと価格は半値以下になります。市場では「オレ(折れ)」とか「キレ(切れ)」と呼んでいます。入札の段階で1割ぐらいはオレが含まれています。かなり安いので買うなら狙い目だと思います。

ここに来てアジが豊漁で、価格もかなり安くなっています。大型のものでも安く買えるので、豪快に塩焼きにしてみるのもいいでしょう。中華風に甘酢あんかけにするのもおすすめです。アジは年間を通じておいしい魚で、まずい時期はありません。

最近、庄内で獲れるようになったのがサワラです。西日本の魚ですから、温暖化の影響かもしれません。漢字で「鰆」と書くように、本来は春の魚で京料理の西京漬は有名ですね。でも庄内では春はかかりません。生食もできますが、スーパーで味噌漬けとして商品化してみるのもおもしろいかもしれません。

アンコウもまずまずの漁獲量です。小さいアンコウの尻尾の部分を味噌漬けにしたら、フグと間違えるほどおいしかったです。小さいものはアンキモが入っていないので安く買えます。上の身は鍋や吸い物にして、尻尾は味噌漬けにしてみてはいかがでしょう。

今、一番おいしい季節を迎えているのがアマエビとスケトウダラです。アマエビは安定して獲れていますが、高くもなく安くもない価格です。スケトウダラの卵は、食卓ではタラコとして食べられています。原卵のほとんどはアメリカからの輸入物です。地元で揚がった鮮度のよいスケトウの子の場合、生で食べる人もいます。身は煮物にしてもおいしいです。10月を過ぎると産卵期に入るので味が落ちます。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2005年10月15日付紙面掲載

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