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価格上がった「銀ムツ」

読者から「ムツという魚の付け焼きを食べました。ギンダラと似ているように感じましたが、輸入物なのでしょうか。庄内浜でも捕れますか」という質問をいただきました。

ムツは主に赤ムツと黒ムツに分かれます。どちらも高級魚に属し、庄内では赤ムツをノドグロと呼んでいます。読者から質問があったムツはこのどちらでもないと思います。それでは何かというと、たぶん銀ムツを召し上がったのでしょう。

かつては銀ムツと言われていたメロです。最近は価格も上がっています

銀ムツは、ギンダラの代用品として食べられるようになった魚です。輸入魚ですから庄内浜には揚がりません。確かに味はギンダラに似ています。代用品ですから同じような食べ方をします。一般的なものはしょうゆ漬けです。宮城県内を含む三陸方面ではかす漬けにして食べるようです。関西の人は西京漬けにもするようです。味付けは違っても、切り身にして何かに漬けるという方式は変わりません。

数年前までは店頭で銀ムツと表示されていました。しかし、2003年にJAS法が改正され、銀ムツという表示では販売することができなくなりました。それ以降、販売量も減り、店頭ではメロという名前で売られているはずです。赤ムツ、黒ムツと誤解されやすいので、販売時の名前を変えることになったのだと思います。

メロの標準和名はマジェランアイナメ、またはオオクチです。味だけでなく、外見もギンダラに似ています。白身で脂が乗っている大型の魚です。体長1㍍を超えるものはざらで、大きいものだと2メートル以上に達します。寿命は50年と長生きです。南極大陸周辺の深海にすんでいます。南極に近いチリやアルゼンチン、オーストラリアといった国が捕り、その大半が日本とアメリカで消費されます。調べてみましたが、旬の時期は分かりませんでした。

面白いことに、今は代用品のメロの方がギンダラよりも価格が高く、ギンダラの1・5倍ぐらいの値が付きます。資源が枯渇してきた上に「これもうまい」と評価されたからでしょう。最近は、われわれも扱う機会が少なくなりました。ひょっとすると将来、食べることができない魚になってしまうかもしれません。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一)
2009年1月8日付紙面掲載

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