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シラエビ 庄内で捕れず

読者から「かなり前、スーパーでシロエビを買ったことがあります。富山県のシラエビとは違うエビなのでしょうか。最近は見ませんが、庄内では捕れないのですか」という質問をいただきました。

シロエビとシラエビは同じものですが、シラエビという呼び名が一般的なようです。富山湾のほか太平洋側の相模湾、駿河湾にも生息しています。国内の水揚げの大半がこの3カ所に集中し、富山県ではホタルイカに次ぐ名産になっています。庄内浜で捕れたという話は聞きません。

鶴岡の市場には生のシラエビはめったに入りません。魚には産地ならではの食べ方があるので、捕れない地域で小売店に並べても売れません。スーパーではシロエビと表示していたと思います。われわれが目にするときは乳白色ですが、とれたては透明なピンク色だそうです。漁の期間は4月から11月までで、6月ぐらいまでが殻が軟らかくおいしいとされています。

18日に行われた鶴岡の寒鱈まつりは好天に恵まれ、大勢の人でにぎわいました

シラエビは、引き網漁という漁法で捕り、早朝から昼すぎまでに3~5回網を入れるそうです。引き上げるとすぐに漁港に戻り、1日に何度も漁場と港を往復します。捕獲されるシラエビの体長は7センチぐらい。サクラエビと同様に昼は深い場所にいて、夜は海面近くに上がってくるという習性があります。

食べ方は揚げ物や酢の物、刺し身が一般的です。わたしも富山に行ったとき、揚げて天丼のようにしたものを食べました。アマエビよりも上品な甘さが記憶に残っています。

話題は変わりますが、今年の鶴岡の日本海寒鱈(かんだら)まつりは天候にも恵まれ、お客さんの出足が早かったです。各露店でも午後1時ぐらいには残りが少なくなっていたようです。遅く来場したため食べられなかったという方もいました。

当日こそ好天でしたが、それまでの1週間、庄内浜は荒れていたので、市場には地物が入らず、秋田や青森、さらに岩手産のタラで代用していました。今年の庄内浜は水温が高いと言われ、1月の第2週まではタラがほとんど見えませんでした。この時期のタラは、北から庄内へと移動してきます。今年はそれが遅いのでしょう。地物は品薄が続いていますが、他県でも青森の水揚げは下火になっています。これからは秋田あたりに期待したいところですが、例年ほどは捕れていないようです。

寒鱈まつりは普段なら、前日のうちに下ごしらえをしますが、今年はしけのためタラが入荷せず、当日の未明になってようやく届きました。午前3時ごろから準備を開始したところもあったようです。価格も高いものになってしまいましたが、うれしいこともありました。いつもより1日新しいタラを提供できたので、鮮度のよいタラを召し上がっていただけたことです。

地物のタラがないのに青森など他県で捕れるのはなぜだろう。皆さんはそんな疑問を持ったことはありませんか。庄内浜の底引き船は、秋田の一部や青森と違って小型なので、波の影響を受けやすく、ちょっと海が荒れただけで出漁できなくなるのです。数の上からも地物は貴重品ですから、県外産と価格差が生じる一因になります。地物のタラは今が旬です。ここにきて値段も落ち着いてきました。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一)
2009年1月28日付紙面掲載

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