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読者から「庄内浜で捕れる深海魚にはどんなものがいますか。おいしい深海魚がいるとしたら、料理法も教えてください」という質問をいただきました。
深海魚は水深何メートル以下にいる魚といった定義はありません。ここでは、一般に深い海にすむ魚、ということで話を進めたいと思います。
世界中を見渡せば、深海魚は無数と言っていいぐらいの種類がいます。庄内に限定しても、この場で列挙できないぐらいたくさんいます。中には皆さんがたまに食べることがあるという魚もおり、いくつか例を挙げると、アンコウ、タチウオ、オキギス（標準和名はニギス）、スケソ（スケトウダラ）といったところでしょうか。冬が旬でムキザメとして売られているアブラツノザメもそうです。
おいしい食べ方ということですが、アンコウは鍋物に飽きたら身を空揚げや天ぷらにしてみてください。淡泊な白身ですからとてもおいしいです。すり身で売られることが多いオキギスは天ぷらや煮付けのほか、空揚げもおいしいです。1匹のまま2度揚げで骨まで食べられる状態にして、甘いたれをからめ、お土産にして販売している旅館もありました。
以上のような知名度の高いもの以外でも、以前に紹介した「分け魚」のように、市場でも知られていない深海魚がいるかもしれませんので、今後も調べてみたいと思います。
話は変わりますが、鼠ケ関の漁協の事務所に行くと、庄内浜で捕れた珍しい魚の写真が飾られています。申し出れば、スタッフの方が見せてくれると思うので、興味のある方は見に行くのもいいかもしれません。
その中でわたしがおもしろかったのはリュウグウノツカイという魚です。これも深海魚の一つに数えられます。とても珍しい魚です。ちょっと見はタチウオに似ていて、頭の所に変わった飾りのようなものが付いています。タチウオの仲間ですから、同じような食べ方がいいと思いますが、めったに揚がらないため、食べるのは難しいかもしれません。一説にはこれが捕れると地震が起きるとか、災害の前触れという話もあります。
海外の魚に目を向けると、「生きた化石」と呼ばれるシーラカンスも深海魚です。皆さんが好きなギンダラもそうです。深海魚で高級魚のアラやクエ、アブラボウズに似ているバラムツという魚がいます。人間の体内では消化できないほど脂分が多く、食べると下痢をしたりすることから、日本では食品衛生法によりバラムツとその仲間のアブラツノムツは販売が禁止されています。参考までにギンダラ科に属する魚はアブラボウズとギンダラの２種類しかいません。
（鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一）
2009年3月8日付紙面掲載
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