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寒前後においしい魚

今の時期においしいのがイシモチ(上)とダイバガレイです。「未食」という方はぜひ試してみてください

読者から「寒ダラ、寒ブリなど、寒という冠が付く名前の魚があるようです。冬は魚がおいしい季節だと思います。知名度はそれほど高くなくとも、寒の時期においしいという魚があれば教えてください。逆に寒の時期においしくなくなる魚はありますか」という質問をいただきました。

魚名の前に寒が付くもので有名な魚は、質問にあるように寒ブリが代表でしょうか。庄内なら寒ダラとなりますが、「地方名」のようなものです。ほかに寒の表現が出てくる魚介類を上げると、寒サバ、寒ビラメ、寒ザワラ、寒シジミ、寒ボラなどがあります。寒とは、寒の入りから立春の前日までを言います。ほんの1カ月にも満たないこの短い時期に、魚の味が変化しているということになります。

庄内では、寒が終わるとタラの表記から寒を外すお店が多いようですが、立春を過ぎたからといって、タラの味が急に落ちるわけではありません。寒ダラとは言っても、寒の間に限定せず、その前後の時期がおいしいと思った方がいいでしょう。魚の味には時期のほかに個体差もあります。寒という冠は一つの目安と考えてください。

冬においしい魚は確かに多いと言えます。でも、魚の場合はカモのように越冬のために身に脂が乗るのではありません。春に産卵をする魚が冬においしいのです。つまり、産卵前に体内に栄養を蓄えるので脂が乗るのです。

知名度が低いという表現が当てはまるかは別にして、庄内で冬においしくなる魚で寒の冠が付かない魚を挙げるなら、ヤリイカ、アマエビ、タイ、ダイバガレイ、アンコウ、サメといったところでしょうか。知らない人も多いかもしれませんが、イシモチも冬においしい魚です。

逆に卵に栄養を取られてしまい、冬においしくなくなるという魚もあります。庄内の場合、クチボソ、エンショウ(円正)ガレイ、ハタハタなどがそれに当たります。寒い時期の庄内浜は、おいしい魚も数多くありますが、しけの日が多いため、底引き網を中心に船が漁に出られず、常に新鮮な地魚をそろえることができるわけではありません。ちょっと残念ですね。

お知らせがあります。読者の皆さまの要望もあり、このコーナーを一冊にまとめた単行本が出版されることになりました。庄内浜の旬の魚や料理法、市場のお話といった話題がぎっしり詰まっています。魚に興味がある方はぜひお求めください。荘内日報社で予約を受け付けています。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一)
2010年2月18日付紙面掲載

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