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全国で人気のギンダラ

庄内でギンダラと言えばしょうゆ漬けが定番と言って良いでしょう。わたしも大好きです

読者から「ギンダラのしょうゆ漬けは、鶴岡でいつごろから食べられるようになり、誰が広めたのでしょうか。他県から入ってきたものですか。ギンダラをたくさん食べる地域があったら教えてください」という質問をいただきました。

庄内地方のギンダラ料理は、しょうゆ漬けに尽きると言ってよいのではないでしょうか。ギンダラは主に、ベーリング海やアラスカ、カナダなど北米方面に生息しています。水深300~600メートルの海底にすむ深海魚です。1960年代にその海域で操業していた北洋船が国内に持ち帰り、流通し始めました。食卓に上るようになってまだ半世紀にも満たない食材と言えます。

当時は、現在のように漁業の規制が厳しくなかったため、塩釜、石巻(宮城県)、八戸(青森県)、釧路、根室(北海道)などの漁港に所属する遠洋漁業の船がベーリング海で捕獲していました。今は外国に揚がったギンダラの頭と内臓を現地で取り除き、冷凍で輸入しています。たまに国内で捕れることもあり、すしダネとしても使われているそうです。

北洋船が持ち帰ったギンダラは、大手水産会社経由で各地の魚市場に搬入され、消費者の元に届くようになりました。鶴岡は海が近く、新鮮な魚が捕れるということもあって、水産加工業はあまり発達していませんでした。たくさんの水揚げがあったときに保存法として昔から行われてきたのがしょうゆ漬けです。 しょうゆ漬けは手間も時間もかからない調理法で、短ければ30分ほどの時間で済みます。新鮮なまま食すこともできるし、保存もききます。ギンダラがしょうゆ漬けになった理由もその辺にありそうです。

焼き魚の多くは、冷めると身が硬くなります。でも、ギンダラは軟らかいままです。弁当に入れる焼き魚としても最適でした。市場で仕入れたギンダラを小売店が一生懸命に売ってくれたのも消費者に浸透した理由の一つでしょう。酒田にギンダラのしょうゆ漬けを作る加工所があり、鶴岡ではうちの会社の加工所でも扱っていました。

ギンダラをたくさん食べる地域も調べてみましたが、全国的に広まっていて、ここという所はありませんでした。でも、庄内はよく食べる地方と言ってよいでしょう。調理法は、関西では西京漬け、宮城県ではみりん漬けが中心で、塩振り焼きや煮物にして食べるという所もありました。ギンダラのしょうゆ漬けは、今では庄内の食文化として認められていると言って差し支えないと思います。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一)
2011年2月13日付紙面掲載

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