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「洗い」がおいしいスズキ

スズキは今が一年でもっともおいしい時期です。洗いを召し上がってみてください

読者から「新聞の市況欄にスズキの価格が毎日のように載っていますが、スーパーの店頭ではあまり見ません。庄内浜のスズキはおいしいのでしょうか。家庭ではどんな食べ方がありますか」という質問をいただきました。

スズキはご存知のように出世魚です。小さい順にセイゴ、フッコ、スズキと呼びます。うろこがあり、ひれが鋭いので、家庭では刺し身にしづらい魚です。下処理は専門店に任せた方がよいでしょう。刺し身にするなら、三枚におろしたものを買い、食べるときに切るのがよいと思います。切ってから時間がたつと劣化します。スズキは、専門店や小売店でも置きにくい魚です。重量で1.5kgから2kgと大型ですから、お客さんが買い物かごに入れるのは大変ですし、買う方も1匹丸ごとを「ちょうだい」とは言いにくいですよね。

市場では売り買いが盛んな魚で、前回取り上げたアイナメと同様、ヒラメやタイの味が落ちている今、おいしい時期を迎えています。料理屋さんでもタイよりスズキを使うようになりました。スズキは、家庭より玄人向きというか、お金を出して食べに行く所に向く魚です。

スズキは年間を通じて全国各地で捕れます。庄内では夏から秋にかけて旬を迎え、冬は魚体もやせています。千葉県の銚子や勝浦、大原といった房総半島では冬においしく、数も揚がります。スズキは、アジなど餌になる魚を追っかけていきますが、大規模な回遊はしません。庄内では今、アジが陸に近い「おか」と呼ばれるところにいるので、浜に近いところにすんでいます。秋になると沖合に出ます。

スズキは、和食はもとより、西洋料理の素材にもなります。ヨーロッパでも捕れるので、ムニエルやソテー、テリーヌなどによく使われているようです。西洋料理で「白身魚の○○」といった場合、白身魚がスズキを指していることも多いと思います。

和食で一般的なのが刺し身とつけ焼きです。変わったところでは、ハタハタのような田楽焼き、表面にウニを塗ったウニ焼きもあるそうです。

ぜひ試してほしいのがスズキの洗いです。そぎ切りにしたものを冷水で洗って、酢みそをつけて召し上がってください。皮のゼラチン質、身の歯ごたえのよさ、脂ののり。この3つのハーモニーを味わうことができる食べ方です。

庄内浜では春先にけっこう揚がります。価格も安いので、病院食や給食にと広範囲に使われます。あまり口にしていないようで、意外に食べている魚かもしれません。春先は河口近くにいるので、「油くさい」という人もいますが、今の時期はくせもなく、本当においしい魚です。ただし、値段の方は春先より3、4倍高く、マダイより高価で、ものによってはヒラメより高いかもしれません。

名前の由来は、白身がすすぎ洗いしたように美しいというところからきたようで、「すすぎたるような」と昔の本にあるそうです。今、一番捕れているのは秋田県の男鹿半島の付け根のあたりです。

庄内浜に目を向けると、マダイは少なくなり、酒田港ではキスやワラサ、イワガキが安定して水揚げされています。由良港ではクルマエビとイナダが見え始め、モズクも天気がよければ確実に捕れています。鼠ケ関の「釣り物」でメジマグロがまとまって揚がっています。この辺でツバイと呼ぶバイガイも安定しています。スルメイカのサイズも大きくなり、1箱25~30匹のものが主流になってきました。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2006年7月14日付紙面掲載

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