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高級魚も今が買い時 ヒラメ編(下)

ヒラメもカレイと同じように、各地でいろんな呼び名がある魚です。青森では口が大きいことからオオグチと呼ばれ、テックイとも言われます。テックイとは、釣り上げられたヒラメが、漁師の手をかじることがよくあり、その荒々しい性格に由来します。青森県風間浦村の下風呂というところに、テックイ縄というものを使ったヒラメの漁法があるそうです。海底の魚の通り道にしかける漁法で、針にえさを付けず、ひたすら待つのです。

「ヒラメ四十」という言葉があります。ヒラメを捕る漁師がヒラメの性質を言葉にしたものです。ヒラメを釣る場合、小さな当たりから40数えてさおを合わせるとちょうどいいということを表したということでした。ヒラメは上品な白身魚と思っていたので、私も面白いなと思いました。

この仕事を始めて感じたのは、ヒラメは高級魚なんだということでした。庄内の旅館などでは、お膳にマグロはなくともヒラメは付いていることがあります。それだけ白身の刺し身を食べる食文化があるということです。

高級なイメージがつきまといますが、今の時期は鶴岡の市場でも人気があり、かなり求めやすい価格になっています。養殖物のタイより安いほどです。ヒラメは日持ちがせず、時間がたって鮮度が落ちると身がやわらかくなり、もちとかコンニャクと呼ばれます。

江戸時代に読まれた川柳に「知恵のなさ 4月平目の 刺し身なり」というのがあります。言葉から察すると、通常、10月から3月が旬でおいしい時期とされているヒラメを4月に使う料理人を、旬を知らないと皮肉ったものではないでしょうか。

普段皆さんがよく見るように白い部分を上にしました。これは由良産のヒラメです。

ヒラメの産卵時期は、青森が7月、庄内は6月です。魚全般に言えることですが、産卵の直前と産後しばらくはおいしくないとされています。庄内では3~5月に刺し網漁でかなりヒラメが捕れます。産卵前で岸に寄ってくるということもあるでしょう。これを「ななめのヒラメ」と言っています。旬の表し方の一つで、刺し網にまつわる「ななめ」という言葉から生まれました。庄内では、3~5月が第2の旬と言われ、珍重されています。

今回は、ヒラメについていろんな話をしました。今の時期、庄内のヒラメは高級品なのに値段が安く、おいしいのです。エンガワにも脂がのっています。こんなおいしいヒラメをぜひ皆さんに味わってほしいとの思いを込めて、2回に分けてヒラメを紹介してみました。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2007年11月30日付紙面掲載

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