天神祭が近づいてきました。昨年は、天神祭の料理には欠かせないタイを取り上げました。今回は、ほかにどんな魚が食べられているのかについてもちょっと調べてみました。
農村部の方たちにとって、天神祭は田植えが終わり、次の農繁期との中休みの時期に当たるようです。忙しい時期の休憩がてらに酒を飲むという話も聞いたことがあります。ごちそうは孟宗(もうそう)汁のようです。
前に紹介しましたが、昔はこの時期、イワシがたくさん捕れたことがありました。イワシを酢みそあえにして食べてもいたということも聞きました。
一方、旧市内の町場では昔から、天神祭でタイを食べていました。タイの主産地でもある青森県の日本海側の鰺ケ沢や深浦では以前、天神祭のころにタイがたくさん捕れたため、鶴岡に送っていた漁師さんもいたそうです。その人たちは天神祭を「鶴岡のタイ祭り」と呼び、「鶴岡の人はタイをたくさん食べる」と思っていたことでしょう。
最近は天神祭が近づいた今の時期、庄内浜でも地物のタイが多く捕れるようになりました。先週の後半、1kg以下の小型のタイが多く水揚げされました。姿作りにするはちょうどいい大きさです。でも、祭りで食べるにはちょっと小さいかもしれません。コダイもおいしくなってきましたが、漁獲量はそれほどありません。一方でタイの子であるタイコはたくさん捕れています。こちらは大型のものが多いようです。酒田まつりを控えた先週の酒田港の水揚げは、タイ一色でした。
庄内浜では今、ウマヅラの水揚げ量が増えていて、価格も安くなっています。新鮮なものなら、肝合えにして刺し身をぜひ食べてほしいと思います。とてもおいしいのです。由良港などでアジがたくさん揚がり始めました。ウマヅラ、アジともしばらく楽しめそうです。庄内浜も明るい話題が増えてきたようです。
(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2008年5月22日付紙面掲載