藤沢周平文学愛好会(萬年慶一代表)の公開講座が7月6日、鶴岡市勤労者会館で開かれました。市民たちが戦国時代を駆け抜けた武将・直江兼続の生きざまなどを学びました。
愛好会は、鶴岡市出身の作家・藤沢周平さんの作品の本質を学び、人生の糧にすることを目的に1998年に発足しました。市民を対象にした公開講座は毎年開催しており、今回で9回目になりました。
今回は、来年のNHK大河ドラマが、米沢市ゆかりの戦国武将・直江兼続を主人公にした「天地人」(火坂雅志原作)に決まったことを機に、藤沢さんが兼続を描いた作品『密謀』をテーマに取り上げました。
この日は市民ら約100人が聴講。第1部では、愛好会顧問の松田静子さん(鶴岡市)が「密謀」のテーマやあらすじについて解説し、「『密謀』は優れた歴史小説であるとともに、忍び集団の“与板の草”など藤沢さんの創作が加わった娯楽的な要素を持つ骨太な作品と評価されています」と話しました。
第2部では元教員で藤沢周平・司馬遼太郎文学研究会代表の佐竹迪さん(山形市)が講師となり、「藤沢周平作品『密謀』~虚々実々、乱世に生きた戦国の武将たち」の演題で講演しました。佐竹さんは「密謀」のストーリーを追いながら、「秀吉は最大の敵・家康をどうしても上洛させようとし、最後は自分の母を家康の下に送り込んだのです」など、多くの戦国武将について触れました。
また、兼続が家康に送った有名な「直江状」について「家康の上洛勧告(問責)に対して返書したものです。そこには家康の傘下に屈することを拒否した上杉家の気骨がうかがえます」と解説しました。
聴講した市民たちはメモを取りながら、歴史に秘められたロマンについて学んでいました。