寝たきりで点滴やチューブを使って胃に流動食を送る胃瘻をしています。口からはほとんど食べていないのですが、歯磨きをしてあげたほうがいいのでしょうか?舌の上には何か固まりが付いてなかなかとれません。いい方法がありましたら教えてください。(50歳 女性)
禁食や胃瘻などでお口から食事を取れず、ほとんどお口を動かしていない方でも、お口の中が汚れている場合が少なくありません。お口を使わないと唾液の分泌が減り、お口の中が乾燥して細菌の繁殖が進みやすくなります。お口から食べていないからといって、お口の中が汚れていないなどということはありません。唾液が少ないので自浄作用も弱いです。歯磨きをしてあげてください。歯磨きは必要です。安静時にも唾液は分泌されていますから細菌を飲み込むことによって起こる誤嚥性肺炎のリスクが高まります。予防の意味でもお口の中をきれいにしてあげましょう。(敬天愛人7月号参照)
唾液の流れがほとんどなくなるために、分厚い舌苔がベッタリとついてくることがあります(写真)。舌に付着する白いコケ状の舌苔は、はく離した舌の上皮、白血球、菌とその代謝物などから構成されています。舌の表面は乳頭と呼ばれる小さな突起で覆われていて、じゅうたんのようになっています。この乳頭と舌のすき間に、コケがからみつくように付着してきます。その方の病状、状態で舌苔の色調がさまざまです。(表)
もう一つのご質問ですが、頑固にこびりついた舌苔を取るのは大変だったでしょう。固く付着した舌苔は舌の上皮と一体になっていますので、1回ですべてきれいにしようと思わないことです。無理にしても出血や痛みを伴うこともあります。毎日でも少しずつ減らすという気持ちで、取り残しがあっても、根気よく続けることが大事かと思います。あまりにも硬くなっている場合は、保湿ジェルや表面を、ぬるま湯などを浸しながら軟らかくして、ゆっくりとはがしてあげてください。1度はがせばそれで終わりではありません。歯磨きと一緒に舌の上も軽くこするようにお掃除してあげてください。そのまま歯ブラシでもかまいませんし、舌ブラシを利用するのもいいでしょう。