「隣に植えているブロッコリーは収穫期が過ぎたけど、こっちは次から次へと出てくる。大忙しですよ」。鶴岡市朝日地域の「あさひグー」でスティックセニョールを販売している佐藤誠さん=三栗屋=がハウス内で苦笑いする。
スティックセニョールは、ブロッコリーと芥藍(カイラン)という中国野菜を掛け合わせた新野菜。「日本で開発されたが、引き合いがなかった。それがアメリカに輸出され人気が出たので、逆輸入されたそうです」と佐藤さんが解説する。
スーパーでも見るようになったが、知らないという人もいるかもしれない。外観は茎がアスパラ、上の部分はブロッコリー。味もやはりこの2つの野菜を連想させる。スティックブロッコリー、ブロッコリーニとも呼ぶそうだ。スティックセニョールという名の由来については「種屋さんにも聞きましたが、分かりませんでした」という返事が返ってきた。
佐藤さんは、産直用に少量多品種の野菜を作っている。一昨年秋、親類の勧めでスティックセニョールの栽培に乗り出した。まだ2シーズン目だが、佐藤家の食卓にもすっかり定着した。
「いつでも食べられるよう、ゆでて冷蔵庫に常備しています。うちには弁当持ちが3人いますが、きれいなので色付けにもいい、と喜んで入れていきますよ」。カロテン、ビタミンC、それに抗がん作用があると言われるサルフォラファンという成分がたっぷり含まれているのも利点だ。
自宅前のハウスには高さ1mほどに伸びたスティックセニョールが群生していた。一度取れば終わりというブロッコリーと違い、次々と「支茎」が出てくる。「何回も収穫できるのがいいんです」と話しながら佐藤さんが手で摘んでいく。
「ブロッコリーも植えていますが、スティックセニョールの方が青臭みがない。甘みがありくせがないんです」。食べ方については「ボイルして、からしマヨネーズを付けたり、シンプルにしょうゆで食べたり。小2と年長組の孫はマヨネーズで食べます。炒め物にもいいですよ」と話す。
シチューやグラタン、中華など、ブロッコリーやアスパラと同じ料理法が合うようだ。佐藤さんのおすすめレシピは「本当においしかった」という酢みそあえ。
いただいたスティックセニョールとさっとゆでて、最初は何も付けずに食べてみた。我が家では3年ほど前から使っているが、鮮度がいいからか、初めて食べたときの感動がよみがえった。何しろ甘くてみずみずしい。硬くも軟らかくもない適度な歯ごたえが心地よい。「血液がきれいになる」という気にさせる野菜だ。
鶏糞などを使い無農薬栽培の佐藤さんのスティックセニョールは150g入り120円で、大型連休まで産直あさひグーで販売している。
スティックセニョール200g、ワケギ2本、ユズの皮少々、砂糖30g、みそ30g、五倍酢50g、みりん10cc
2007年4月7日付紙面掲載