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青コゴミ

青コゴミはシダ類の中でもっとも美しいと言われる。鮮やかな濃い緑色が深山の香りと春の息吹を伝える。山菜の促成栽培といえば、旧朝日村や遊佐町などの山間部が思い浮かぶが、青コゴミは鶴岡市の平野部の農家も手がけている。百万石の里「しゃきっと」に出荷している今野美枝さんもその一人だ。

「収穫した青コゴミを水洗いしていると、途中で切れてしまったり、背丈が低くて出荷できない規格外のものがどうしても出ます。以前は隣近所に配っていたんですが、皆さん飽きてしまったのではないかと思って。おすそ分けを拡大するような形で、今年からしゃきっとに出してみました」と笑う。

今野さんの家では20年ほど前から青コゴミの促成栽培に取り組んできた。夫の毅さんと毅さんの両親がやっていたが、今シーズンに「代替わり」し、今野さんは収穫した青コゴミを水洗いするなどの下処理とパック詰めを担当している。「アクが強いので、洗っているうちに手が黒くなってしまうこともあります」と苦笑する。

農協への出荷がほとんどだが、「平野部でも山菜の促成栽培に取り組んでいることを知ってほしい」という思いから、しゃきっとでの直売を決断した。「規格外」がメーンで、50gをパック詰めにして短いものを80円、頭の部分の下で切れてしまったものを70円で販売している。「正商品」は100円。「産直のイメージは低価格。おすそ分けの拡大ですから」と採算度外視の料金設定にした。

保温シートをはずすと新緑の深山を感じさせる青コゴミがびっしり

今野家の青コゴミは、自宅から100mほど離れた2棟のハウスで栽培されている。秋に北海道から苗を取り寄せ、ハウスで3週間ほど加温すると出荷期を迎える。「収穫のサイクルを考えながら、苗を植えていくんだ。独特のくせは自生には及ばないが、裏を返せば食べやすいということ」と栽培を担当する毅さんが話す。保温シートを取り除くと、15cmほどの高さでびっしり生えている濃い緑色の青コゴミが目に飛び込んできた。新緑の香りがする。

ゆでてごま和えやおひたし、天ぷら、みそ汁といった調理法が一般的だが、今野さんのおすすめは唐揚げ。「唐揚げ粉を付けると、味もしっかりするので、山菜が苦手という若い人も喜んで食べてくれます。隣近所にも教えてあげたら好評でした」とにっこり。年配者向けには白和えを教えてくれた。

「山菜は高級品だから家で食べるのは無理。どう調理していいか分からないという人にもぜひ試してほしいですね」。「山の幸」がもっと若い世代の家庭に普及してほしいと願う。しゃきっとでは今野さんを含め3人が出荷している。自生の青コゴミが出回る4月いっぱい店頭に並ぶ。

今野さんのおすすめレシピ

青コゴミの白和え

○材料(4人分)

青コゴミ100g、豆腐3分の1丁、白ごま、砂糖、しょうゆ各大さじ1、塩少々

○作り方

  1. 青コゴミは根本を切り落として洗い、熱湯でゆでて冷水に取り、水気を切っておく。
  2. 白ごま、砂糖、しょうゆ、塩を合わせ、すり鉢でよくする。
  3. 食べる直前にゆでた青コゴミと水切りした豆腐を加え、ざっくりと和える。

2006年3月19日付紙面掲載

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