「この春からは露地物だけでなく、ハウス栽培のサヤエンドウも町内の小学校の給食に登場しています。本当にうれしい。しゃきしゃきとした食感と甘い旬の味を食べてもらっています」。三川町の道の駅みかわ内にある産直施設「物産館マイデル」にサヤエンドウを出している渡邊みきこさん=土橋=は喜びを隠しきれない。
「サヤエンドウは収穫期間が長い。扱いたいから作ってみないか」。30年ほど前、三川町の公設庄内青果物卸売市場関係者にこうすすめられ、自宅裏の畑で栽培を始めた。「東京ではキヌサヤとも呼ぶようですが、この辺では『よど豆』の方が通りがいいかもしれません。どこの家でも自家用に作っていたものですよ」と振り返る。
20年ほどサヤエンドウを手がけてきたが、孫が生まれたため、10年ほど前に一度はやめた。マイデルの開店に合わせ、「楽しみづくりに」と栽培を再開した。
「色鮮やかで香りも良く栄養価が高い。フレッシュなよど豆は和洋、中華風と、いろんなおかずに大活躍する野菜です」と魅力を話す。渡邊家では、いため物や豆ご飯、サラダなどあらゆる料理に「フル回転」する。豆が大きくなったグリーンピースはシチューやカレー、肉じゃがなどの煮物にも使われる。
「小学生の孫たちは豆ご飯が大好きなのでよく作ります。サヤから豆だけを取り出し冷凍しておけば、一年中使えます。今日はみよった(大きくなった)取りたてを使ってカレーにしようと思っています」と笑う。
サヤエンドウは、実が小さいうちはサヤ、成長すると豆が「主役」になる。渡邊さんの自宅で、ゆでたサヤをいただいた。透き通るような緑色が食欲をそそる。口に入れるとしゃきしゃきとした歯触りが心地よく、ほんのりとした甘みが鮮度の良さを感じさせる。いくらでも食べられそうだ。
12月に種をまき、自宅の室内で芽出しをする。2月にハウスに定植。春を迎えると緑色の葉が伸び始める。白い花が咲き、収穫期を迎える。「今年は4月下旬に出荷が始まりました。例年より10日ほど遅れましたが、お客さまに喜んで食べてもらえると、よかったなと思います」と直売ならではの喜びを話す。マイデルでは70g入り1袋120円ほどで販売している。
おすすめレシピでは孫が大好物という豆ご飯を紹介してくれた。サヤではなく、「みよった」グリーンピースを使ったものだ。「よど豆は便秘の解消、美肌効果、風邪の予防、高血圧の防止に効果があるといいます。サヤと豆と両方食べてみてください」と話す。
ハウス栽培のサヤエンドウは6月初めまで収穫し、その後は露地物に切り替わる。
2006年5月20日付紙面掲載