文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

「萬吉なす」門外不出の“家宝”

昨年秋、鶴岡市の産直館に初めて登場したナスがある。湯田川の1軒の農家が代々守り続けてきた在来野菜で、本紙は昨年10月、「門外不出の萬吉なす、産直にお目見え」と報じた。今回は、デビュー2年目を迎えた萬吉なすを取り上げる。

「今年は日照りが続いて、実がスポンジ状になってしまった。お客さんに問い合わせをいただいたのに出せなくて申し訳ないと思っています。今年はだめかも」。7月末、萬吉なすを継承している小田茂子さんの顔はさえなかった。幸い、2回目以降に植えた苗が順調に育ち、今月中旬、ようやく出荷にこぎ着けた。

萬吉なすはとても大きい。高さ15センチ、幅10センチほど。京都の賀茂なすをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれない。ずんぐり型で濃い紫色をしている。

大型で味もおいしい門外不出の萬吉なす

この大型のナスはどこからやってきただろうか。「門外不出」の家訓を守って栽培されてきたため、来歴は不明だ。在来野菜を研究している山形大農学部の江頭宏昌准教授は「ルーツは関西方面ではないか」と推測する。

20年以上前、湯田川の旅館に直接販売、炭火で焼いてみそを付けて朝食に並んだこともあったが、近年はほとんど自家消費していた。嫁ぎ先で30年以上、栽培を手がけてきた小田さんが昨年、産直館での販売を決意。名もなきナスは屋号から「萬吉なす」と命名された。

ユニークな形が目を引くが、特筆されるのは味のよさ。あく抜きの必要がないので使い勝手もよい。「萬吉なすにはえぐみがありません。子供はナスを食べないそうですが、わが家の子供も孫たちもおいしいと言っています。子供はマーボナスが好きなようです」と話す。

萬吉なすはどんなナス料理にも合う。「漬物はもちろん、天ぷら、いため物などもいいです。キュウリと塩もみするのもおいしい。でも、さっと焼いて味わうのが一番かもしれませんね」と笑う。

わが家では萬吉なすをよく食べる。「ほかのナスは食べられない」と言うほど家族が惚れ込んでいるのだ。果肉もジューシーで味も深い。いろんな料理に大活躍している。ナス料理が出てくると、子供たちが「これ、萬吉なす?」と聞き返す。

江頭准教授は昨年、初めて食べた萬吉なすを「皮と実の間がリンゴのような香りがする。家宝になると思う」と絶賛した。

萬吉なすは300~400グラム入りが1袋100~120円と価格も安い。「ほどほどの値段でみんなに食べてもらいたい」との思いからだ。小田さんは「時間ができたら、今年は漬物にして売ってみようかしら」とも考えている。

ほかのナスとの交配を避け、隔離して守られてきた門外不出の萬吉なすは産直館の白山店=電0235(25)6665=、駅前店=同(22)0202=、のぞみ店=同(35)1477=のほか、同市日枝の産直こまぎ=同(35)0660=でも販売している。

小田さんのおすすめレシピ

萬吉なすのソテー

○材料

萬吉なす、サラダ油、しょうゆ

○作り方

  1. 萬吉なすを適当な厚さに切る。
  2. フライパンにサラダ油をひき、裏表をさっと焼く。火の通りが早いので注意する
  3. 皿に取り、しょうゆをかけて食べる。好みでおろしショウガを添えてもよい。

2008年8月23日付紙面掲載

トップページへ前のページへもどる
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field