今回取り上げるキノコを庄内で作っている人がいるとは初めて知った。中華料理屋さんでよく食べるし、豚骨ラーメンに載っていることもある。料理好きは大喜びするのではないだろうか。キクラゲを紹介する。
「生のキクラゲは歯触りが違いますよ。乾燥させたのを戻したものは硬いでしょう」。酒田市の山居館でキクラゲを販売している齋藤善市さん=小牧=が胸を張る。
齋藤さんは「農園の売り上げの8割をキノコが占める」というキノコ作りのスペシャリスト。庄内みどり農協の「菌床しいたけ栽培アドバイザー」でもあり、キノコ栽培農家に菌床を提供している。
夏キノコのヒマラヤヒラタケの栽培が思うような結果が得られず、種菌メーカーのすすめで昨年、キクラゲの栽培を始めた。
直方体の菌床ブロックでキノコ菌を2カ月培養し、それに袋をかけて1カ月後に収穫期を迎える。「温度管理にそれほど気を使わずとも大丈夫。水を毎日やるぐらいで手がかかりません」。作りやすいキノコらしい。
生のキクラゲはどんな味で、どう食べたらおいしいのだろう。「キクラゲ自体には味はありません。いため物や酢の物はもちろん、ラーメンやマーボー豆腐に入れてもいい。何にでも合う。でも最初は素材そのものの味をみてほしい」と齋藤さん。
奥さんがゆでたキクラゲを出してくれた。わさびじょうゆでいただいた。歯ごたえがある。表現が適当か分からないが、コリコリとした食感だ。料理に使う際は、事前にさっと下ゆでするのだそうだ。
菌舎に連れて行ってもらった。菌床ブロックから茶色いキクラゲが出ている。漢字で「木耳」と書くが、なるほど耳のような形をしている。「大きくなったところで収穫します。今朝、取ったばかりなので、大きいのはないみたいですね」と苦笑いした。
帰宅後、いただいたキクラゲを下ゆでし、からしじょうゆで食べてみた。「乾燥物より軟らかい。食感がよくて別の食べ物みたいだ」と家族も大喜び。旬のマコモタケとのいため物もおいしかった。いろんな野菜との相性を試してみたい。「料理心」がくすぐられる素材だ。鉄分を多く含み、貧血にいいらしい。
下ゆでするとボリュームが1・5倍ぐらいに膨らむのもうれしい。「100グラム入って1パック150円という値段設定は安かったかも」と齋藤さんは話すが、消費者には低価格は大歓迎。「来年は農協のしいたけ部会のメンバーにも栽培を推奨したい。将来は特産品に」と意気込む。
齋藤さんのキクラゲは、息子の元生さんの名前で酒田市山居町一丁目の「山居館」=電0234(26)6222=のほか、船場町二丁目の「さかた海鮮市場」内の「海の八百屋」、ジャスコ酒田南店内の産直コーナーで11月まで販売している。
キクラゲ100グラム、砂糖小さじ1、酢小さじ1、みそ大さじ1
2008年10月4日付紙面掲載