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「黄金千貫(こがねせんがん)」ほっこりした優しい味

「宮野浦のサツマイモは昔からおいしいと言われています。次回は、黄金千貫(こがねせんがん)という白いサツマイモはいかがでしょう。生産者を紹介してもらいます」。県庄内総合支庁酒田農業技術課の橋渡しで、酒田市の食彩工房「いちご畑」で黄金千貫を販売している阿部喜代さん=宮野浦二丁目=を訪ねた。

なぜ宮野浦のサツマイモはおいしいのか?疑問をぶつけてみると、「この辺の砂はきめが荒く、土壌がやせているのでサツマイモが成長するのに時間がかかります。いじめられて育ったから、身が締まっておいしいのでしょう」という答えが返ってきた。

黄金千貫は、焼酎の本場・鹿児島では芋焼酎の原料に栽培されている。食用ではなかったが、味にほれ込んで食べる人もいて、「黄金を千貫積んでも値打ちがあるイモ」というところから名が付いたらしい。

黄金千貫は皮が白いサツマイモ。子どものおやつにもよさそうだ

庄内で栽培されるようになったのは最近のことと思っていた。ところが「宮野浦では昔から白い細いイモを作っていました。昔のイモはもう少し水分が多かった。黄金千貫はそれを品種改良したものだと思います」と聞いてびっくりした。

阿部さんは、黄金千貫のほかに紅あずまなど計5種類のサツマイモを栽培している。試食、販売した味を確認してから購入した人はリピーターになってしまう。「米沢や北海道のお客さんが40キロ、80キロと買ってくれるんです」と笑う。

午前と午後は畑に出ているため、阿部さんが自宅にいるのは昼休みぐらい。その時間帯に注文が舞い込むのだそうだ。今回の取材も昼休みに時間を取ってもらったが、言葉通り何度か電話が鳴った。宮野浦のサツマイモ恐るべし。

黄金千貫はどんな味がするのだろうか。それに対する阿部さんの答えは「紅あずまと味は変わらないと思いますが、甘さは少し控えめです。でも身が締まってぽこぽこみがあります」と独特の言い回しで表現した。

料理法は「うちではふかしイモにします。焼きイモもいいです」と話した後「くせもないので天ぷらもおいしい。でも、イモが白で、天ぷらのころもの色も白では、お客さんに出すのには色合いがちょっと…」と苦笑いした。

ちょうどその時、ふかしイモが完成したので、さっそく紅あずまなどと試食してみた。確かに黄金千貫の方が甘みは少ない。紅あずまがどっしりした味わいなのに対し、黄金千貫はほっこりして優しい。好みもあろうが、黄金千貫の方がたくさんおなかに入りそうだ。

サツマイモの保存法も聞いた。気温が度以下になるとくさってしまうため、阿部家では新聞紙にくるんで室内に置いておくそうだ。「翌年の6月まで大丈夫ですよ」と太鼓判を押す。「ふかしてからラップにくるんで冷凍しておくと、いつでも食べられますよ」とも教えてくれた。

黄金千貫とともに阿部さんがすすめるのが、「私ぐらいしかこの辺で作っていないと思う」と話す種子島ゴールドという紫イモ。本場・宮野浦のいろんな品種との食べ比べや、黄金千貫のふかしイモ、天ぷらをつまみに芋焼酎を飲むのも楽しいかもしれない。

阿部さんの黄金千貫は1キロ入って280円。酒田市坂野辺新田のいちご畑=電0234(41)0283=のほか、こぴあコープ酒田の産直コーナーでも販売している。

2008年11月8日付紙面掲載

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