なんぜんじ、そうめんなど、これからネギが薬味として活躍する季節を迎える。ところが、今の時期の長ネギは硬くて辛い。そんな不満を持っている人も多いのではないか。そんな「ネギ好き」にお勧めしたいのが万能ネギだ。
「軟らかいし、青いところまで全部食べられるんですよ」。鶴岡市朝日地域の産直あさひ・グーで万能ネギを販売している佐藤幸子さん=越中山=が胸を張った。
夏の長ネギが不満だった佐藤さんは一昨年、万能ネギの栽培を始めた。万能ネギは葉ネギや細ネギとも呼ばれ、長ネギに比べて細く、青い部分が多いのが特徴。博多、大分、仙台などが有名産地として知られる。「仙台の小ネギはブランドですが、わたしが作ったものをお客さんが買ってくれるか、最初は心配でした」と佐藤さんは振り返る。
4月に種をまき、ハウスで芽出しした後、7、8㌢ほどに成長したところで畑に移す。「追肥はしますが、消毒はせず、農薬も使いません。生で食べるものですから」と笑う。
使い方は当然、薬味ということになるが、「香りがきつくないので何にでも合います」と太鼓判を押す。「大根、ネギ、ニラ、それに万能ネギを生のまま適当な大きさに切り、グーで売っているキムチのたれとからめたらおいしかったですよ」と変わった食べ方も介してくれた。
佐藤家では「納豆やみそ汁にたっぷり入れますし、卵焼きにも」といろんな料理に使っている。「手巻きずしを作るとき、マグロのたたきにいいかも。それとグー手作りのおぼろ豆腐、厚揚げにとてもよく合います」とPRした。
いただいた万能ネギを刻んで、グーのおぼろ豆腐、厚揚げにたっぷり振りかけた。比較するため、刻んだ長ネギも添えてみたが、やはり硬い。辛みもなく、軟らかい万能ネギに軍配を上げざるを得ない。素材の味を引き立てる「いぶし銀」と言ったら褒めすぎだろうか。
翌朝、納豆にもたっぷり入れたら、くせがないのでひときわおいしく感じた。今後、冷しゃぶやそうめんなどにも使いたい。シソの葉とともに重宝しそうだ。
「本を見たらチヂミにまぜてもおいしいと書いてありました」と佐藤さんは話すが、やはり用途は薬味に尽きるようだ。よって今回はおすすめレシピはなし。佐藤さんの万能ネギは100グラム130円。鶴岡市下名川の産直あさひ・グー=電0235(58)1455=で今月末まで販売している。
2009年6月20日付紙面掲載