記事にする素材を探しに訪れた酒田市の「いちご畑」で、夕顔を小さくしたような「ウリ」を見かけた。名前の欄には「その他の商品」と書いてある。何だろうと首をかしげていると、以前、このコーナーで取材した男性と出会った。「この野菜は?」という質問に「かたうり。漬物にするんだ。この辺では昔からよく作っていたよ」という返答。今回はかたうりを取り上げる。
「『それはどうして食べるの』『何ですか』とやはり聞かれますね。漬物用ですと答えています。今はかたうりと表示してあるはずです」。いちご畑でかたうりを販売している高橋京子さん=坂野辺新田=が苦笑いした後、「去年の夏、お盆飾りの牛に使いたいと言う方がいたので、8月のお盆の時期には飾り用も販売しました」と話した。
かたうりの表面は最初は薄い緑色。時間がたつと白、そして黄色へと変わるのだそうだ。「緑色の時は実が軟らかいので浅漬けにします。白くなったものをかす漬けに使います」。やはり漬物専用の野菜だったかと思ったら「軟らかいうちなら、夕顔と同じようにけんちんにしても大丈夫。くせがなくて、とてもおいしいですよ」と教えてくれた。
かす漬けは自分では作ったことがないし、かたうりそのものも食べた記憶がない。どんな味だろうと思っていると、「去年漬けたのが少し残っているのでどうぞ」とかす漬けを出してくれた。
見た目はキュウリのようだが、皮の下の実の部分が薄い。「縦半分に切って種を取り出して漬けます」という説明で納得。苦みがあるかと思ったが全くない。そして実の部分が軟らかい。かすの「うまみ」をかたうりが吸収しているような感じだ。
「去年初めて漬けてみました。男性には砂糖が多すぎたかしら」と言われたが、そんなことはない。2切れ、3切れと食べ進むうちに止まらなくなり、車の運転に支障を来しては大変と、未練を残してはしを置いた。
「かす漬けは3度漬けで手間がかかります。若い人はやらないでしょう」。いちご畑を事前に訪れた際、年配の女性が「あっ、かたうりだ。漬けなきゃ」と言ってかごに入れていた場面に出くわした。懐かしい味を求めるファンは結構いるようだ。
高橋さんは、秋にはかたうりにキュウリ、メロン子、ニンジンのかす漬けをセットにして販売するそうだ。「今年は中にシソやニンジンなどの野菜やコンブを入れた鉄砲漬けにも挑戦してみたい」と目を輝かせた。
高橋さんのかたうりはサイズによって1個100~150円。酒田市坂野辺新田のいちご畑=電0234(41)0283=のほか、こぴあコープ酒田の産直コーナーでも販売している。
かたうり4キロ、塩3・5合、酒かす3キロ、砂糖1・6キロ
2009年7月25日付紙面掲載