「昔の人はイモのつるを食べていたと聞きました。産直に並ぶ野菜がいつも同じでは面白くないと思い、グーがオープンした年から出しています」。鶴岡市の産直あさひグーで「サツマイモツル」を販売している白滝麗子さん=熊出=が話す。
白滝さんがこのコーナーに登場するのは2度目になる。前回は2年前の6月。春の山菜であるウルイの花を紹介した。天ぷらやみそマヨネーズあえにするとおいしく、「山のアスパラ」とも呼ばれるウルイの花を食べたときの驚きがよみがえった。
最近は、「すいおう」のように、つるを食べるためのサツマイモも栽培されている。昔の人が食していたという「元祖」のつるは消費者に受け入れられたのだろうか? 疑問を口にすると、「年配の人は『若いころに食べた』と懐かしがって買ってくれましたが、最初はあまり売れなかったんです」と笑った。
白滝さんは、商品のそばにレシピも添えてみた。「でも、若い人にはピンとこないようです。それで試食販売をしてみたら、買ってくれるようになりました」。味を知れば食べたくなる食材だった。
調理法について質問すると、「わたしはよく煮物にします。重曹を入れて下ゆでして、さつま揚げを加えてしょうゆ味で軟らかく煮たのが好きです」という答えが返ってきた。「忙しい人なら市販のめんつゆを使っても十分おいしいです」とも教えてくれた。
以前、すいおうを取材した際、いため物も合うと聞いた。「もちろん、いため物もおいしいです。下ゆでは必要ありません。わたしはニンジンなどの野菜にちくわを入れていためます」。みそ汁の具にもいいそうだ。
畑に連れて行ってもらった。「先の軟らかいところを手で摘み取ります」と手際よくポキポキと折っていく。サツマイモも秋には収穫できるというからつるの「有効利用」と言えるかもしれない。
帰宅後、さっそく下ゆでして、作り置きのそうめんつゆで煮物を作ってみた。少し「ぬめり」がある。フキに似た食感だが、苦みはない。白滝さんが言うように、軟らかめに煮て味を染みこませた
方がいいように感じた。
ナスがあったのでいため物も作ってみた。しゃきしゃきとした食感がおいしい。つる自体にはあまり味がないので、やはりしっかりした味付けが合うようだ。きんぴら風にしてもいいかもしれない。
白滝さんのサツマイモツルは200グラムで1束100円。9月まで鶴岡市下名川の産直あさひグー=電0235(58)1455=で販売している。
サツマイモツル1束、さつま揚げ1枚、めんつゆ適量、重曹少量
2009年8月8日付紙面掲載