素材探しで鶴岡市の産直館のぞみ店を訪れた。「何かないですか」。質問に返ってきた答えが「マッチャンはどうでしょう?」。初めて耳にする名前に興味がわいた。見せてもらうと、ウリを細長くしたような形だ。いや、巨大なキュウリといった方がいいかもしれない。「韓国カボチャです。ズッキーニに似ていますよ」。スタッフの薦めに従い、栽培者の五十嵐廣さん=千石町=の自宅に出向いた。
「毎年、珍しくて面白い物を作ろうと試しています。お客さんも楽しんでくれればいいかなと思って」。いたずらっぽい顔で五十嵐さんが話す。
外観はウリのようだが、韓国カボチャという名の通り、カボチャの仲間なのだそうだ。「形はズッキーニみたいですが、畑に生えている姿はカボチャそのものですよ。伸び放題にしてあります」。収穫したマッチャンを見せてもらった。薄い緑色で縦じまのような模様が入っている。
どんな味がするのだろう? 疑問をぶつけると、「外はサクサク、中はトロリ。ズッキーニと似た味ですが、種は気にならず、より食べやすいと思います」という答えが返ってきた。
料理法はズッキーニと同じイメージでいいようだ。「典型的な夏野菜です。いため物が合うと思います。バーベキューもいいし、青ジソを加えた豚肉とのみそいためなどいろんな使い方ができると思います」と話した後、「うちではナスの代わりにカレーに入れます。みそ汁の具にもなりますよ」と教えてくれた。
青ジソとのいため物とみそ汁をごちそうになった。いため物の味はズッキーニに似ている。淡泊な味わいなので、油との相性もよさそうだ。みそ汁との組み合わせも面白い。韓国料理ではナムル(野菜、山菜などのあえ物)にも使うらしいが、「韓国料理店の人ではなく、一般の方たちが買っていくようですよ」と笑った。
「使いやすくておいしいというのが分かって、リピーターも多いようです。どんな食べ方をしているのかわたし自信も興味があります。来年は栽培量を増やしたい」と五十嵐さんが意気込む。
頂いたマッチャンをベーコンとのいため物にしてみた。ズッキーニと同じく、見た目より火の通りは早いようだ。ベーコンとからんだ塩味は家族にも好評。スープに入れるのもいいかもしれない。
五十嵐さんが頭を痛めたのが価格設定。「珍しい、買ってみようと思っても、値段が高いとお客さんが悩むと思いました。中型1本円を目安にしています」。焼き肉のたれとも合うそうなので、今度はバーベキューに使ってみたい。五十嵐さんのマッチャンは鶴岡市の産直館のぞみ店=電0235(35)1477=と駅前店=同(22)0202=で販売している。
マッチャン1個、バラ肉、カラーピーマン、塩、コショウ各適量
いためる時間はナスをイメージするとよい。味付けは市販の焼き肉のたれでもおいしい。
2009年9月12日付紙面掲載