今回は、パクチョイという葉野菜を取材することになった。名前は聞いたことがあるが、どんな野菜だったんだろう? 「前に食べたことがあるけど、おいしかった。確か、取材でもらってきたはず」と家族に言われ、記憶をたぐりながら、酒田市のめんたま畑でパクチョイを販売している小林淑子さん=砂越=を訪ねた。
庭先で待っていた小林さんが早速、最上川にほど近いハウスに連れていってくれた。「この辺は昔からの畑地で、おいしい野菜ができるんです。野生のキジがハウスに入ってきて、ホウレン草やパクチョイを食べてしまうこともあるんですよ。無農薬で栽培しているのに気付いたのかもしれませんね」と苦笑いした。
「自家製の堆肥をたっぷりやっているので野菜も元気がいいでしょう」。ハウス内を見渡すと、なるほどホウレン草は青に近い緑色で、葉に「勢い」があるように見える。「昨年、知人に頼まれ、都内のレストランに送ってあげたら、『甘みがすごい。こんな野菜はこっちでは手に入らない』と言われました」と誇らしげに話す。
さて、今回の素材のパクチョイだ。「これがそうです」と教えてもらった葉野菜を見ると、茎の部分が白い。葉はホウレン草より薄い黄緑色で、うちわのような形に広がっている。
「つるつるとしていて、煮びたしや中華料理にするとおいしい。みそ汁にも合います。うちではよく煮びたしを作ります。だしを入れてもいいですが、さつま揚げや野菜からもいいだしが出ます」とおすすめレシピを紹介した。
パクチョイは中国野菜でチンゲンサイの仲間らしい。見た目も似ている。大きくて肉厚のチンゲンサイをイメージしてもらうのがいいかもしれない。「緑色と白のコントラストがきれいなので、見た目という面からも料理を引き立ててくれます」。
帰宅後、パクチョイを使って鶏肉とのいため物に挑戦。包丁を入れるとサキサキとした感触が伝わり、チンゲンサイを切る時を思い出した。しゃきしゃきした食感が心地よく、火が十分に通っても「へたっ」としない。キムチ鍋にも入れてみたが、長めに煮てもサキサキ感は健在。チンゲンサイと似た味だが、より使い勝手がいいかもしれないと思った。
小林さんが作る野菜が元気でおいしいのはたっぷりの堆肥のほかに、植え方にもコツがあるそうだ。しかし、そちらの方は「企業秘密。まねされるから」といたずらっぽい笑みを返し、教えてくれなかった。
小林さんの葉野菜は、「公称」200グラムといいながら、倍以上は入っているとか。このおおらかさは、消費者にはとてもうれしい。小林さんのパクチョイは1束100円で今月末まで酒田市飛鳥のめんたま畑=電0234(61)7200=で販売している。
パクチョイ1束、ニンジン1/2本、ジャガイモ2個、さつま揚げ 3枚、酒、しょうゆ各適量
2010年2月20日付紙面掲載