「遊佐駅のぽっぽやで、雲南百薬という葉物を見つけました。食堂コーナー(ゆざ街かどサロン)で天ぷらを食べたら、くせがなくて少しとろみがあり、おいしかったですよ」。県庄内総合支庁酒田農業技術普及課から耳より情報が寄せられたので、遊佐町に足を運び、生産者の藤原厚子さん=直世=を取材した。
「娘が友人の家で球根をもらってきたので植えてみました。ぽっぽやがオープンした2年前から販売しています。スペードのような形の葉です。つるがハウスを覆うほどに成長するんですよ」と藤原さんが話す。百聞は一見にしかずと、早速ハウスに連れて行ってもらった。パイプに絡む形でつるが上に伸び、天井に達している。なるほどすごい生命力だ。
「食べごろの大きさになったものから取っていきます」。藤原さんが黄緑色の葉を摘み取っていく。ツバキの葉の濃い緑色を薄くしたような感じだ。「最初に肥料をやるぐらいで、あとは手をかけません。無農薬で消毒もしていません。秋になると白い花が咲き、そうなると収穫も終わりです」と話す。
料理法については「何といっても天ぷらです」と事前に聞いていたが、天ぷらのほかサラダと野菜いためを出してくれた。天ぷらは確かにつるりとしたとろみ、ぬめりを感じる。「オクラともツルムラサキ、モロヘイヤとも同じようで違う食感でしょう」と言われうなずく。これからの時期なら、そうめんなど冷たいめん類との付け合わせに天ぷらを使いたい。
サラダはほんのり苦味があるが悪くない。モヤシなどとの野菜いためはつるりとした食感がアクセントにもなっている。「火を通すと苦味が取れてつるつるします。生食できる野菜ですから、最後に入れてほんの数秒いためる程度でいいです。みそ汁にも合うようです」と解説してくれた。
雲南百薬は「陸のワカメ」とも呼ばれ、マグネシウムやカルシウム、ビタミンAなどを豊富に含み、栄養価が高い。糖尿病や血糖値の抑制などに効能があり、中国の雲南省では長寿の薬草とされているそうだ。
帰りにゆざ街かどサロンに立ち寄ると、定食(370円)に雲南百薬の天ぷらが付いていた。冷やしうどんを選んで組み合わせを楽しむ。やはり冷たいめんとの相性は抜群だった。夏バテ防止のためにもこれからの時期に食したい野菜だろう。
「味を覚えた人はリピーターになる」と藤原さんが話す雲南百薬は10枚入って70円。遊佐駅舎内の産直スペースぽっぽや=電0234(72)3758=のほか、駅近くのゆざ街かどサロン=同(72)5720=で8月末まで販売している。
2010年7月10日付紙面掲載