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「ツルムラサキ」栄養満点 夏ばて防止に

「ツルムラサキは元々中国の野菜です。無農薬で栽培しています」。酒田市の産直施設「食彩工房いちご畑」でツルムラサキを販売している佐藤優香さん=坂野辺新田=が胸を張った。

優香さんは中国山東省の出身。2000年に来日し、植物が持つ本来の力を引き出す植酸有機栽培に取り組んでいる静雄さんと結婚した。

農業の経験がなかった優香さんにとって、1年目は驚きの連続だった。「慣れるまで大変。ハウスの中は暑いし、忙しいし」と笑いながら振り返る。

旧平田町の友人に遊びに行った際、食卓に登場した野菜がツルムラサキだった。「中国では夏になるとみんなが食べる懐かしい味。日本にあるとは思わなかった」と意外な場所で出会った「ソウルフード」に感激、さっそく自分の畑で栽培を始めた。

「最初は家で食べる分だけ」の作付けだったが、徐々に栽培面積を増やし、イチゴ畑にも出荷するようになった。無農薬で作る優香さんのツルムラサキは「すごく甘みある」と評判を呼び、「30袋持って行っても売り切れる」人気商品になった。

濃い緑色のツルムラサキ。中国では夏野菜の「定番」だ

ツルムラサキは3月に種をまき4月に定植、6月に収穫期を迎える。茎と葉の先の部分を手で摘み取る。次の茎が出てきたら追肥してやる。そうしないと硬くなってしまうからだ。

ツルムラサキには独特のぬめりがあり、オクラやモロヘイヤなどと同じ「ぬるぬるネバネバ系」の野菜。ビタミンA、ビタミンC、カルシウム、ミネラルなどを豊富に含み、夏ばて防止には最適と言える。

いちご畑で優香さんと待ち合わせした。「畑に行ってみますか」と誘われ、砂丘地に向かった。車を降りるとハウスが立ち並び、中にはナスが植えてある。「うちは主人と2人でナスをたくさん作っています」。ハウスのそばにツルムラサキの畝があった。

太陽の光を浴びて育ったからか緑色が濃い。「手で折れるところまでがおいしいんですよ。ほらポンポンという音がするでしょう」。優香さんが20cmほどの長さに摘み取っていく。さわってみると確かに軟らかい。

「中国では夏になるとニンニクといためて毎日のように食べます。うちでもニンニクいためが多いですが、さっとゆでて冷たい水で冷やしてしょうゆとかつお節、ごま和えにもします。生のままきざんで納豆に入れてもいいですよ」と料理法を教えてくれた。

「ツルムラサキの食材としての特徴ってなんですか」と質問したら、困った顔で首をかしげた。「ほんのちょっとした苦みでしょうか。パスタに入れてもおいしいですよ」。そばで聞いていた静雄さんが助け船を出した。

帰宅後、いただいたツルムラサキを優香さんおすすめのニンニクいためと、さっとゆでてショウガじょうゆでいただいた。ニンニクいためは「いためすぎると、しゃきしゃき感がなくなる」というアドバイスに従い、強火でやってみた。「いかにも中国料理らしい」というのが家族の感想。パワーがつきそうな感じがした。わが家で食べ慣れているショウガじょうゆも取れたてだけにひと味違う。単純な食べ方ほど鮮度がものをいうと実感した。

いちご畑では1袋200g入りで販売している。

佐藤さんのおすすめレシピ

ツルムラサキのニンニクいため

○材料

ツルムラサキ200g、バラ肉150g、ニンニク、酒、コショウ、しょうゆ、オリーブオイル大さじ2

○作り方

  1. ツルムラサキを3~4cmの長さに切る。ニンニクはみじん切りにしておく。
  2. フライパンにオリーブオイルをひき、バラ肉とニンニクをいためる。
  3. 1を入れて最後に塩、酒、しょうゆをして強火でさっといためる。
  4. 最後にコショウを入れ、味を調えてできあがり。

2006年8月5日付紙面掲載

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