「エンサイは地の葉物があまりない時期に出る野菜。使う方も重宝だと思います。茎を摘み取ると、脇から次々と出てくるから何度も収穫できる。作る方にとっても重宝な野菜なんです」。三川町の道の駅みかわ内になる「物産館マイデル」にエンサイを出荷している庄司花井さんが笑った。
エンサイは中国原産で中国名は空芯菜(くうしんさい)、日本ではアサガオナとも呼ばれる。ビタミンやタンパク質を豊富に含み、カルシウムはホウレン草の約4倍とも言われる。暑い日が続いている今の時期に食べるには最高の野菜だ。
庄司さんとエンサイの出合いは6年ほど前にさかのぼる。友人の家で初めて食べた時に「サツマイモのつるかなと思ったら、茎がサクサク、葉はネバネバしていておいしかった」と感心した。自家用にとさっそく栽培を始め、2001年からマイデルで販売している。
知名度が全くない野菜だっただけに最初は苦労した。「食べ方が知られていないため売れず、持っていったものをそのまま持ち帰ったこともあります」と振り返る。「3年ぐらい前から売れ始め、ほかの人も作るようになってきた。爆発的な人気はありませんが『好きだ』という固定客が買ってくれます」というように知る人ぞ知る「名菜」として評価されている。
5月下旬に種をまき、7月中旬から収穫が始まる。自宅敷地内にある庄司さんの畑に連れて行ってもらった。「これがエンサイです。ホウレン草と似ているでしょう」。緑色の細い葉が伸びている。見た目はホウレン草を連想させる。「手でポンポンと取れます」と庄司さんが摘んでいく。
「ホウレン草感覚で食べてください。ごま和えなど単純な食べ方が一番です。エンサイは手の込んだ料理を作る時間がない忙しい主婦にぴったりの野菜です」と使い勝手のよさをPRする。
「さあどうぞ、食べてみてください」。自宅でゆでたエンサイをすすめられ、しょうゆ、ごまだれ、ワサビじょうゆでいただいた。たれの味がゆでたエンサイにすぐに染み渡る。野菜そのものにくせがないので、たれの味が引き立つ。「温かいご飯に合うんですよ」というのもうなずける。
茎の部分を使ったいため物もしゃきしゃきしておいしい。ぬるぬるした葉はゆでて、茎はいため物にすると持ち味を発揮しそうだ。「いため物もゆでてから使います。お盆に若い人がきたので、ベーコンといためて出したらおいしいといわれました」。よって庄司さんのおすすめレシピはベーコンとのいため物。
調味料、たれを上手に受け止めるエンサイだが、色が変わりやすいという「欠点」がある。摘み取ってしばらくすると根元が黒ずみ、ゆでた直後はきれいな緑色だが、まもなく全体が黒っぽくなる。
「第一印象で損をしている」と庄司さんが嘆くエンサイだが、補って余りある長所を持っているのも事実。300g入り1袋100円というお手軽価格で9月中旬までマイデルに販売している。
エンサイ200g、ベーコン100g、ショウガとニンニク各1片、塩コショウ適宜
メモ…飾り付けに炒り卵を入れるときれいになります。
2006年8月19日付紙面掲載