文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

「ゴボウ」油で揚げてもOK

ゴボウと言えば思い浮かぶのはきんぴらだ。季節に関係なく食卓に上ることもあり、これまで産地や旬について深く考えたことはなかった。「ゴボウは連作がきかないので、一度植えたら4年間休みます。秋から冬にかけてが旬です」。酒田市のヨッテーネでゴボウを販売している伊藤正行さん=穂積=のこの一言でそんなイメージは覆った。

収穫したばかりのゴボウは色つやがいい

ゴボウはほ場を選ぶ作物でもある。「土の下をまっすぐに伸びるので、硬い岩盤が浅い所にあってはだめ。種まき前に地下80cmまで掘り起こす必要があります。土をよく混ぜるので、収穫後にほかの野菜を植えるのにもいいようですよ」と笑った。

ゴボウは食物繊維の含有量は野菜の中でもトップクラスで、ほかにリンやカリウムも多い。アミノ酸などは皮の部分に含まれており、料理する際に皮をはぐのは禁物。たわしなどで軽く洗うのがいいそうだ。

3月下旬に種をまき、7月下旬ごろから収穫が始まる。年内いっぱいぐらい収穫できる。「10月ごろまでは手で抜くことができますが、その後は毛根も出るし、土が硬くなるので、鍬で掘り起こして収穫します。たまに1.5メートルもあるのが取れますよ」。傷つけば商品価値は下がる。結構きつそうな作業だ。

生産者はきんぴら意外にどんな料理をするのだろう。おすすめレシピを聞いたら「私は取材相手に向いていないと思うんですよ」という答えが返ってきた。「大切にゴボウを育てているのになぜ」と疑問に思うと、「作るのは一生懸命にやっているんですが、実はわが家ではあまりゴボウは料理しないんです。忙しくて手をかけられないものですから」と申し訳なさそうに頭をかいた。

「これで勘弁してください」と出してきたのがヨッテーネで作ったレシピ集。ゴボウのかば焼き風と書いてあった。手がかからず、酒のお供にもよさそうだ。農家の女性たちの知恵が生み出した料理なのだろう。「細いゴボウを油で揚げて食べるとおいしいそうですよ」。ゴボウは油と相性がよさそうだ。

おいしいゴボウの見分け方について教えを請う。「味自体は長い短いなどでは変わらないと思います。ただ、『す』が入っているのは避けた方がいい。切り口を見れば分かるはずです」と教えてくれた。買う際は首の回りに注意だ。

「ヨッテーネのお客さんは太いゴボウはあまり買っていきません。すが入っているというイメージがあるのでしょうか。でも岩手県内の直売所を視察したら太いゴボウを1本単位で袋に入れて販売していた。酒田なら売れないだろうなと思いました」。消費者の好みにも地域性があるようだ。

ゴボウはどんなふうに栽培されているのだろう。「畑に行ってみますか。でも地上の部分は葉も枯れている。ゴボウは地下にありますから、見た目ではゴボウ畑と分かりませんよ」と言われて断念。

代わりに収穫したばかりのゴボウを見せてもらった。色つやがよく、「生きがいい」感じがして、いかにもおいしそう。「きんぴらにしてビールをグビっとやりたい」などと不謹慎なことを考えてしまった。

伊藤さんはすぐ使う人向けに泥を落として販売しているが、「大口用は保存を考えて洗わずに出しています」という配慮もしている。「正月用に年末はゴボウが売れます」。これからがかき入れ時。ヨッテーネでは3本入り150円前後で販売している。

ヨッテーネのおすすめレシピ

ゴボウのかば焼き風

○材料

ゴボウ500g、酒大さじ3、かたくり粉少々、揚げ油適量、砂糖大さじ3、しょうゆ大さじ2、白ごま少々

○作り方

  1. ゴボウは皮をむき、あく抜きしてかためにゆで、軽くたたき長さ4cmに切り、酒に浸す。
  2. 1をかたくり粉にまぶし、油で揚げる。
  3. 砂糖、しょうゆ、浸した酒を煮溶かし、2をからめ白ごまをふりかける。

メモ おつまみにもよい。塩、七味唐辛子を少々振りかける。

2006年12月16日付紙面掲載

トップページへ前のページへもどる
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field