庄内では「温海カブ」をはじめ赤カブの栽培が盛んだ。温海カブが頭にあるため、白カブの旬も秋だと思いこんでいた。「次の農の国、白カブはいかがでしょう」というメールを県庄内総合支庁酒田農業技術普及課の地域支援専門員からいただき、「へーっ」と思いながら、酒田市八幡地域の産直たわわに出荷している池田良之さん=北平沢=を訪ねた。
「今の時期の白カブは甘くておいしいんですよ。うちでは火を入れて総菜にして食べることが多いです」。出迎えた池田さんが教えてくれた。なるほど冬が旬なのかと納得した。
白カブは、葉の部分にビタミンAやカルシウムを多く含み、実の部分はビタミンCや消化酵素のジアスターゼが豊富なのだそうだ。大根より甘みがあり、食物繊維も多い。体にやさしい野菜と言える。
思い浮かべる料理は浅漬けをはじめとした漬け物だろう。わが家でもキュウリと一緒に浅漬けにすることは多い。しかし、今の時期のキュウリは高い。しかも県外産だ。どんな料理があるのだろう。
疑問を口にすると「うちでよく食べるのが、鳥の手羽先と四つ切りにした大きめの白カブをしょうゆで味付けした煮物です。2cmほどの厚さに切り、フライパンで焼き、肉みそかユズみそをのせるのもおいしい。いためてナスの田楽みたいにするのもいいのではないでしょうか」という答えが返ってきた。たわわのスタッフは、クリーム煮にも入れているそうだ。
料理する際の注意点として「火が入りすぎると、とろとろに溶けてしまいますよ」とアドバイスしてくれた。葉の部分はどうするか。「うちでは葉はあまり食べませんが、みそ汁には根元に近い部分を一緒に入れます。漬け物にできるぐらいですから生でも食べられますよ」。新鮮なカブをサラダなどにして生で食べるのもよし。
ハウス栽培の白カブは10月末に種をまく。池田さんの場合は元肥だけで追肥はしない。「葉が焼けてしまうのが心配」だからだ。農薬は使わず、自家製の竹炭を土に入れている。新鮮なカブの見分け方は「表面がつるっとしていて張りがあり、茎がしゃきっとしているものを選んで」と教えてくれた。
池田さんのおすすめレシピは白カブのひき肉みそ和え。新鮮なカブをさっといためるのがコツ。取材の後、フライパンにバターを入れ、いためたカブと茎を食べてみた。甘みがあり、「これがカブか」という驚きの味だった。たわわでは3玉100円で今月末まで販売している。
白カブ、ひき肉100g、みそ大さじ3,砂糖大さじ1、みりん大さじ1、酒小さじ2、水あめ大さじ1/2、かたくり粉小さじ1
【メモ】 ユズみそで代用してもよい。
2007年2月10日付紙面掲載