季節を問わずわが家ではネギをかなりの頻度で使う。冬なら鍋物はもちろんさまざまな料理に幅広く。ほかの季節もうどんやそうめん、なんぜんじなどの薬味に欠かせないため、切らさないようにしている。ただ、長ネギの場合、辛くて堅い時期があるのが不満だった。最近はもっぱら、白い部分が多く、甘みがある軟白ネギを使っている。
「ネギが嫌いな人、強い辛みが苦手な子どもでも大丈夫ですよ」。三川町の道の駅みかわ内にある「物産館マイデル」で軟白ネギを販売している須藤いくさん=横山=が胸を張った。
須藤さんはネギを周年出荷している。一般の長ネギは露地物だが、軟白ネギはハウス栽培。6月に種をまき、7月いっぱいかけて定植し、成長したところで両側を黒いビニールのフィルムで囲い、光を遮断する。フィルムに覆われた部分が「白根」と呼ばれる白い茎の部分になる。
土寄せする必要がないため、長ネギなら7畝しか作付けできないハウスに7畝分を植えることができるのは利点だが、「フィルム代やハウスの資材にお金がかかり、露地物より割高になってしまいます」と苦笑いする。しかし、価格を考慮しても「お得」と思わせる魅力が軟白ネギにはある。普通の長ネギに比べ背丈が高く、白根部分の占める比率が高い。
「甘みがあるし、軟らかい」と話すように、薬味はもちろん、鍋物やいため物、生食となんでもござれ。「一度食べた人はファンになります。『軟白出たか』というお客さんも多いです」。見た目に繊細な感じが漂う。
須藤家ではいろんな料理に軟白ネギが登場する。「これなんか、市販のめんつゆをかけるだけ。すごく簡単です」とすすめられたのが漬物。軟白ネギならではの甘さにしゃきしゃきした食感が加わり、つまみには最適の一品料理だ。
次に出てきたのがあえ物。「レンジでチンしてかつお節とポン酢をかけるの。もう一品足りないときのおつまみにいいですよ」。時間があればゆでてもいい。「私は、うまみが逃げないようにさっとゆでて切ります。ウルイのように酢みそでどうぞ。若い人にはごまだれが合うようです」と話す。
「お弁当にもよさそう」と思ったのが、白い部分を切り、ベーコンでくるりと巻いてつまようじで刺したベーコン巻き。「ベーコンの塩味が付き、余熱があるので軽く火を通すだけにしてください」とアドバイスしてくれた。千切りにして水菜、レッドオニオンと水にさらし、ツナ缶を載せたサラダもさっぱりしておいしかった。
須藤さんが教えてくれた料理は、ちょっとした時間で作ることができるものばかり。見た目もよく、手間がかからないので共働き夫婦向きとも言えそうだ。今回は、おすすめレシピではなく、須藤さんのおすすめ料理集になった。
甘くて薬味に使ってもおいしい須藤さんの軟白ネギは3~5本入り1袋120円で、4月中旬までマイデルで販売している。
○漬物…ぶつ切りにして市販のめんつゆに漬ける
○サラダ…千切りにしてドレッシングをかける。ワサビマヨネーズでもOK
○いため物…肉、ハム、ウインナーソーセージなどと一緒にいためる
○あえ物…さっとゆでて酢みそやマヨネーズであえる。ゆでる代わりにラップをかけてレンジで熱を入れてもOK
2007年3月3日付紙面掲載