大根葉という野菜は子どものころ、よく親に食べさせられた記憶がある。大人になってからは「大根に付いている葉っぱのことだろうか、でもあれだとしたら茎が硬いな」という疑問を持ち続けていた。今回がまたとないチャンスと思い、三川町の産直みかわで大根葉を販売し、運営組合の理事長でもある佐藤信夫さん=神花=にぶつけてみた。
「大根とは違う品種、葉っぱを取るための野菜と考えてください」。なるほどそうだったか、と合点がいったが、今度は「大根葉から大根は出ないのか」という新たな疑問が浮かんだ。「根元の白い部分はかす漬けにして食べると、おいしいですよ」と大根葉を土から抜いて見せてくれた。そこには白くて細い「大根の赤ちゃん」とでもいうような根が生えていた。
佐藤さんはハウスで通年、大根葉とホウレン草を栽培している。「毎日食べられるものを作りたい」という願いと葉物野菜へのこだわりがあるからだという。
「作るのは簡単」という大根葉だが、「夏は収穫して1日たつと、葉が黄色くなる」というデリケートな面もある。「棚持ちが悪いからスーパーでは扱いにくいでしょうね。新鮮さが命。直売所向きの野菜かもしれません」というのもうなずける。
大根葉の料理と言えば、けんちん、おひたしが思い浮かぶが、産直みかわの佐藤さんの棚には「ジャガイモやサツマイモ、カボチャなどのホクホク系と煮物にすると驚くほどのおいしさです」と張り紙がしてあった。思いがけない料理法ですねと水を向けてみたら「こんなに、とびっくりしますよ」という返事。ほかに「みそ汁にちょっと落とすと、ひと味違いますよ」と教えてくれた。
「何とも表現のしようがない味だが、ホウレン草より私は好きです」とは佐藤さんの大根葉への評価。ビタミンEやK、カロテンなどの栄養分を含んでいるから健康にいいのは間違いない。1日に7種類の野菜を食べるという佐藤さんは「私は医者知らず。それが健康の秘訣かもしれません」と笑い飛ばした。
帰宅後、佐藤さんの大根葉を使っていため物に挑戦。おすすめレシピのカボチャはなかったので、ジャガイモで代用した。いためても煮物にしてもいいそうだ。大根葉は、ホウレン草や小松菜などと違い、火を通しても茎がしっかりしている。それがホクホク系と合うのだろう。
意外な「出合い物」を知る機会に恵まれ、感謝することしきり。「お客さんの反応も悪くない。ホウレン草に次ぐ人気です」というのもうなずける。200g入り80円という低価格もありがたい。産直みかわで通年販売している。
大根葉200g、カボチャ200g、サラダ油20㏄、しょうゆ、酒、みりん各大さじ1、塩少々
2007年4月14日付紙面掲載