春一番に芽吹く山菜と言えば、ウルイを思い浮かべる人も多いかもしれない。今回取り上げるのは初夏に食べるウルイの花。葉が伸びた後に出てくる花と茎が食用になるのだそうだ。ウルイは好物だが、花は見たことがない。どんな花が咲くのだろうなどと考えながら鶴岡市の「産直あさひ・グー」に出荷している白滝麗子さん=熊出=を訪ねた。
「私は花と書いていますが、ウルイの華という名前で売っている人もいます。促成栽培のウルイとの違いですか。私は山ウルイしか食べたことがないので分かりません」と笑った。自宅でお話を聞いたが、なかなかイメージがわいてこない。「畑に行ってみましょう」と誘われ、自宅そばのウルイ畑に足を運んだ。
大きくて幅が広い緑色の葉が広がり、池に浮かぶハスを連想させる。その中にふじ色がかった白い小さな花が顔をのぞかせていた。花自体は、ハスというよりレンゲに近いかもしれない。
白滝さんの家は熊出地区南西の山間部にある。「減反で米の代わりに植えるのは何がいいか考えたんです。やはり土地に合うものがいいんじゃないかと思って、うちの山に自生しているウルイを移植しました」。
10年余り前に栽培を始めたが、若葉を出荷し、その後に出てくる花は捨てていた。2004年のグーのオープン後、「花も食べられると聞いて、『山のアスパラ』として売るようになりました」と話す。
現物を前にしてもどんな味がするのか見当がつかない。「花は天ぷら、茎はゆでてあえ物にするのがいいと思います。花は苦みがあるかもしれません。でも、東京の姉に送ってあげたら『花がおいしかった』と言っていました。今はつぼみですが、開くと彩りがいいですよ」と教えてくれた。
「食べてみますか。ちょっと待ってください」。摘み取ったばかりのウルイの花を手際よく料理し、みそマヨネーズあえにして出してくれた。花は言うほど苦くはなく食べやすい。茎はなるほどアスパラを思わせるしゃきっとした歯ごたえ。みそマヨネーズとよく合う。アマドコロとちょっと似た「春の味」と言えば分かってもらえるだろうか。
「主人とレシピは何がいいか相談して、いろんな料理を作ってみました。生のままいためたら苦みが強い感じがしたので、みそマヨネーズあえをおすすめします」。いろいろご苦労をかけたようだ。グーの食堂でも天ぷらにして出しているそうだ。
帰宅後、いただいたウルイの花と月山筍を天ぷらにしてみた。そばと一緒に食べると味が引き立った。もちろんビールのつまみにも最適だったことを付け加えておく。アスパラのように、ゆでてからいためてもおいしいかもしれない。
山菜と言っても肥料をやり、草取りをして手をかけて作っている白滝さんのウルイの花。来年は「若葉」もぜひ食べてみたいと思った。200g1束100―130円。6月20日ごろまでグーで販売している。
ウルイの花200g、ちくわ1本、ニンジン1/3本、マヨネーズ1/2カップ、みそ大さじ2
2007年6月2日付紙面掲載