我が家で夏に欠かせない薬味野菜がミョウガだ。南禅寺、冷やむぎ、そうめんにと大活躍。秋になると、今度は漬物やいため物、揚げ物などに重宝する。
「早生のミョウガはお盆ごろから出ています。でも、ナシの収穫などで忙しくて採る暇がありません。おくての秋ミョウガは出荷していますが、その時期は稲刈りで忙しい。実はおふくろに任せているんです。私はそれを持っていくだけ」。鶴岡市の産直あぐりに秋ミョウガを出荷している佐久間豊さん=西荒屋=が苦笑いした。
自宅裏のナシ園の一角にあるミョウガ畑に連れて行ってもらった。たわわに実った幸水と豊水が秋の訪れを感じさせる。背が高いミョウガタケを倒すと、まだ小さいミョウガが顔を出している。
「大産地の谷定地区から続いているものかもしれません。肥料をやり、後はほったらかしにしているようなものです。農薬も除草剤も使っていません」と笑う。
何気なく食べているミョウガだが、早生とおくてに違いはあるのだろうか。「秋ミョウガの方が大きく、ふっくらとしています」と解説してくれた。「秋ミョウガは漬物用にいいと思います。産直で500g、1kgという単位で買っていく人がいます。たぶん漬物を作るのでしょう」。
ミョウガにはビタミンCとカリウムのほか、独特の香気を漂わせるアルファピネンという精油成分が含まれているのだそうだ。発汗、呼吸作用を促し、解毒効果などの「薬効」も期待できる。
佐久間さんの家では収穫した秋ミョウガを井戸水で洗い、あらに水道水で汚れを落として出荷する。「早生は順繰り生えますが、秋ミョウガは一斉に出るので知人に手伝ってもらっているようです。花が開くと、ふにゃふにゃになりますから」。秋ミョウガの収穫作業は「短期決戦」なのだ。
料理法に水を向けと、「個人的にはあまり好きじゃないので食べないんですよ。家ではみそ汁の具や素揚げにしてみそを付けて食べるのが多いようです。ほかは薬味として使いますね」という答えが返ってきた。
おすすめレシピは「おふくろが親類の家で食べてきておいしかったという料理」。名前はないというので、勝手に秋ミョウガと枝豆とカズノコのあえ物と命名させてもらった。帰りに味付けカズノコを購入し、さっそく作ってみたら、ミョウガと枝豆の意外な取り合わせがおもしろかった。正月に食べるハリハリ漬けの「夏バージョン」といったところか。酒のつまみ、箸休めに重宝しそうだ。
あくがある秋ミョウガの下処理は水にさっとさらすのがコツだという。ミョウガをたくさん食べると物忘れが激しくなると言われているが、根拠のない俗説らしい。これで安心して食べられると胸をなで下ろした。 佐久間さんの秋ミョウガは100g 80円前後の価格で、あぐりで10月10日ごろまで販売している。
ミョウガ、枝豆、味付けカズノコ、だしじょうゆ
2007年9月15日付紙面掲載