朝晩がめっきり涼しくなった。いや寒いと感じる日もある。鍋物が恋しい。となれば白菜は欠かせない。地物ははまだ先だろうと思っていたら、「早生はもう出ていますよ」という情報が寄せられた。鶴岡市白山の産直館と産直館駅前店に出荷している安達忠一さん=茅原町=を訪ねた。
「枝豆がやっと終わったので、収穫できるようになりました。私自身白菜が大好き。だから早く出してお客さんにも喜んでほしいと思って、早生種も植えているんですよ」と笑う。
安達さんの自宅を訪れるのは2度目だ。昨年の秋、このコーナーでカラトリイモを取り上げた際、奥さんの美枝さんに話をお聞きした。カラトリイモのコロッケをごちそうになり、おでんに使う際には一度いためると味がよくしみるなどの「裏技」も伝授してもらった。
今回もたくさんの手料理で迎えてくれた。キュウリとニンジンが入った一夜漬け、「さっと塩漬けした後に市販のキムチの素で作った」という白菜キムチ、「ベーコンを巻いて、コンソメを入れて煮た」ベーコン巻がテーブルに並んでいる。「まず食べてみてください」の言葉に促されはしをのばす。
新鮮な白菜を使っているからだろう。漬物はしゃきしゃき感と甘みがありおいしい。ベーコン巻きにはスープの味がよくしみていて、子どもが喜びそうだ。これだけで十分満足したのだが、「温かいのが一番だから」とギョーザを焼いてくれた。かむと「ジュワッ」と餡(あん)から汁が口の中に広がる。すりおろしたニンニクと無臭ニンニクが白菜の味を引き立てている。「やっぱりギョーザは白菜だな」と思わせる味だ。 「うちではギョーザとキムチが人気です。それをお供に焼酎の水割りを飲みます」と話す忠一さんにうなずきながら熱々のギョーザに舌鼓を打つ。
食べてばかりでは仕事にならないので、白菜についてお話を聞いた。「早生の白菜は軟らかい。日持ちはしますが、やはり新鮮な方がおいしいですよ。ぎゅっと締まって肉厚のものを選んでください」とアドバイスしてくれた。
忠一さんの白菜を待っている人も多い。「孫を幼稚園に送り出してから産直館に持って行くので、開店時間に間に合わず、お客さんから『遅いぞ』としかられることもあります」と申し訳なさそうに話す。
取れたばかりの白菜を見せてもらった。葉の色とつやがよく、しゃきっとしている。越冬野菜というイメージがあった白菜だが、鮮度が大切なんだということが分かった。
「スーパーで白菜を見たらまだ高い。買ってよかったと思ってもらいたい」と、平均サイズで200円という価格設定も消費者にはうれしい。安達夫妻の愛情がこもった白菜は「雪が降るまで」2カ所の産直館で販売している。
白菜、豚ひき肉、ニンニク、無臭ニンニク
2007年10月6日付紙面掲載