子どもたちが嫌いな野菜の代表はニンジンとピーマンなのだそうだ。ニンジンは、ビタミンAやカロテンを豊富に含み、栄養価の面からも食べさせたいのに、独特の苦みが子どもに敬遠される。何とかならないかしら。こう思っているお母さんにぜひ試してほしいのが金美(きんび)ニンジンだ。
「甘みがすごいから子どもにも受ける。秋田に住んでいる2人の孫も、うちに来ると喜んで食べます」。鶴岡市の百万石の里「しゃきっと」で金美ニンジンを販売している高橋耕治さん=辻興屋=が笑顔で話す。
金美ニンジンは、その名の通り、少し金色がかっている。普通のニンジンが赤みを帯びたオレンジ色なのに対し、どちらかというと黄色に近い。初めて見た人は脱色したニンジンと思うかもしれない。
金美ニンジンは、中国からやって来た黄色ニンジンと赤ニンジンを交配させて生まれたらしい。
高橋さんは5年ほど前、農業雑誌で存在を知り、ハウスで栽培を始めた。8月のお盆過ぎに種をまき、無農薬で育てて11月末から収穫する。「花のストックもそうですが、今年は成長が遅くて、出荷は年明けにずれこんでしまいました」と苦笑いする。
しゃきっとの佐藤清子店長は「やっと出たかと待ってくれていたお客さんが買っていきます。鶴岡駅近くのイタリアレストランのシェフがお気に入りの素材です」と教えてくれた。
苦くないニンジンがあるのだろうか。そんな疑問を抱いていると、奥さんの喜佐子さんが「ひらひらに切って、レンジでチンしただけのものですが」とドレッシングを添えた料理を出してくれた。
「ニンジン独特の香りはなく、甘みだけでしょう」。高橋さんの言葉に思わずうなずく。苦みがなく、口の中に甘みが広がる。「2人暮らしで農作業が忙しいので、うちでは簡単な料理で済ませます。ほかに豚肉のしょうが焼きに入れたりします。火の通りが早くおいしいですよ」と高橋さんが解説する。
サラダに入れると色合いもよく、煮物やいため物など何にでも合う万能ニンジン。高橋家ではハリハリ漬けや寒ダラの子漬けにも使うのだそうだ。
帰宅後、いただいた金美ニンジンを豚肉のしょうが焼きに入れ、「新しい野菜だよ」と子どもたちに食べさせてみた。普段は、カレー以外ニンジンを食べない2人がぺろりと平らげ、「どうだった」と聞くと、「甘くておいしい」という返事。後でニンジンと教えると、驚いていた。
普通のニンジン同様にカロテンなどがたっぷり入っているのもありがたい。
高橋さんの金美ニンジンはしゃきっとがメーンだが、先月オープンしたのぞみ店など3カ所の産直館でも500g200円で少量販売している。
豚肉スライス、金美ニンジン、ショウガ、しょうゆ
2008年1月12日付紙面掲載