今回紹介するのはエジプト菜という葉野菜。7000年以上前から原産地のエジプトで食されてきた。「ピラミッド建設の原動力ともなった」とも言われ、栄養価がとても高い。酒田市が2001年、エジプトから種子を輸入して庄内バイオ研修センターで育成、特産化を目指している。
「名前はエジプト菜でも寒さに強いんですよ。秋から冬の野菜が少ない時期に出せるので重宝しています」。酒田市のみどりの里山居館でエジプト菜を販売している渡部和男さん=中野曽根=が笑顔で話す。
エジプト菜はアブラナ科に属し、ルッコラ、あるいはガルギールとも呼ばれる。酒田市は当初、ガルギールという名称で売り出す予定だったが、先進自治体が商標登録していたことが判明し、断念した経緯がある。でも、ガルギールよりエジプト菜の方が「ピラミッドパワー」が秘められているような感じがする。
栄養価の高さを示す指標にホウレン草が持ち出されるケースが多い。エジプト菜の場合はどうか。カルシウムは3・6倍、ビタミンCが2・5倍含まれており、かなりの「優れもの」なのは間違いない。「脇から次々と葉が出てくるので、何度も収穫できます」というから農家にとってもありがたい野菜と言えそうだ。
気になる料理法については奥さんの恭子さんが解説してくれた。「サラダが基本です。苦みがありますが、ゴマのような香りがしてとてもおいしい。しゃきしゃきとした歯触りで、パプリカやアカタマネギといった甘みのある野菜と相性がいいようです」。おすすめレシピにあるようにオリジナルのドレッシングで食べるのがいいそうだ。もちろん市販のドレッシングやマヨネーズで食べてもおいしい。ただ、独特の風味と苦みは好みが分かれるらしい。「山居館の生産者の間でも香りがいやだと言う人もいます。それがおいしいのに」と恭子さんが苦笑いする。
「農業者仲間と鍋に入れて食べたらおいしかった。さっと火を通すのがいいようです。いろんな食べ方ができると思いますよ」と話すのは和男さん。酒田市が作った宣伝パンフレットにはサラダ以外に豆腐グラタン、パスタ、肉団子との呉汁(ごじる)が載っている。用途は意外に広そうだ。
帰宅後、いただいたエジプト菜を焼いた鶏肉の付け合わせにして生で食べてみた。ホウレン草よりやや黄緑に近い色合い。サラダ油を使った簡単ドレッシングにしたが、確かにゴマのような味と香りが広がりサクサクしている。香気が強い水菜といったらイメージできるだろうか。
2人の子どものうち1人は苦いと言って敬遠したが、もう1人は肉と一緒に喜んで食べていた。確かに好みは分かれそうだ。試しにスープギョーザに入れてみたら、スープとマッチしておいしかった。和男さんが言うように火を通しすぎない方がよさそうだ。野菜好きには受け入れられる味だと思う。
今週末は恭子さんがドレッシングを持参し、試食用を準備してくれるというからうれしい。1束100g80円という安さで栄養がたっぷりのエジプト菜は4月まで山居館で販売している。
エジプト菜50g、タマネギ1/2個、スイートコーン1/2缶、カニ風味かまぼこ1/2パック、ドレッシング(サラダ油大さじ2、酢大さじ1、塩少々、コショウ少々、水大さじ1)
ドレッシングは市販のイタリアンドレッシングやコールスロードレッシングでもおいしい。
2008年2月2日付紙面掲載