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身がおいしい初冬のタラ

「庄内で寒サバがたくさん水揚げされたという記事が以前、新聞に載っていました。庄内浜のサバを店頭で見ることはありませんが、庄内でもサバが捕れるのでしょうか」という質問を読者からいただきました。

サバの主産地は太平洋で基本的に南方です。庄内浜にサバが揚がるというのはちょっと前までは考えられませんでしたが、5、6年前から捕れるようになりました。このコーナーの3回目で、温暖化の影響からか、以前は取れなかったサワラが多くなったという話題を取り上げましたが、サバについても同じことが言えそうです。ただ、大漁といっても1日5、6箱の水揚げが20箱ぐらいに増えたという程度のことと考えてください。ですから魚屋さんの店先で見ることはないわけです。

価格は卸値で1匹当たり700~800円円と高価です。みそ煮などにするのはもったいないですね。シメサバなどすしネタにしないと合わないでしょう。今も少し水揚げがありますが、脂も乗っていて「寒サバ」と変わらないぐらいおいしいです。

シメサバを作るには、まずサバを3枚に下した後、塩をたっぷりと満遍なくふって殺菌します。5時間ほど置いた後、水で洗って酢に漬けます。漬ける時間は1時間ほどで十分です。私も国産のサバを使って何度も作りました。市販されているノルウェー産のシメサバよりはるかにおいしいです。身の色が白ではなくピンクで脂が乗り過ぎず、刺し身と同じ感じです。ぜひ一度試してみてください。

マダラは身を食べるには今が一番おいしい時期です

タラがこのところ好調です。白子やマダラの子がお目当てなら別ですが、身を食べるなら今が一番おいしい時期です。白子は12月下旬から、タラコは完熟する1月初旬ぐらいからおいしくなります。今も生食できないことはありませんが、コンディションが整っていないと考えてください。白子はてんぷらなど火を通すことをおすすめします。

タラコは糸こんにゃくとまぶす「こづけ(いりつけのことです)」にして食べるのが一般的でしょうか。わが家では生のマダラコを輪切りにしてしょうゆで甘じょっぱく煮付け、その上に生卵を落として蓋をしてから蒸して食べます。料理名はないのですが、とてもおいしいです。子供のころから食べつけていたので、どこの家でもやっていると思ったら、うちの従業員は「そんな食べ方知らない」「ぜいたくだ」と言っていました。ひき肉で作るそぼろの手塚流マダラコバージョンといったところでしょうか。ぜひ試してみてください。

寒ダラは雄が雌の倍の値がつきます。昔は雄の方が安かったのですが、白子が珍重されるようになり、近年は立場が逆転しました。雌の方がサイズも大きくて揚がる本数も多いのです。

今は身がおいしい時期ですから、鍋に入れたり煮付けにしたりと楽しんでください。アブラワタ(肝臓)の状態はよいので、白子にこだわらないのであれば、雌を使ってどんがら汁にしてみるのもよいでしょう。お子さんは洋食が好きですから、タラの身を入れたホワイトソースのグラタンも喜ばれると思います。ほかにもから揚げやタマネギとニンジンの薄切りを添え、南蛮酢でマリネにするのも子供向けです。

生食の場合、大人にはちょっと高度ですが、昆布締めにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。寒ダラの時期ならマダラコのしょうゆ漬けとの親子丼もおいしいと思います。

飛島でメジマグロ、酒田方面ではナマコが捕れています。ナマコは県外に出荷されます。ワラサ(イナダとブリの間)、サワラも揚がっていますが、安くはありません。庄内でサワラの水揚げが安定してきており、注目を集めてきました。マーケットに評価されるためには安定供給が必要です。サワラが庄内の名物になってくれればいいなとも思います。

底引き網漁の主力は、大黒様前にハタハタに切り替わり、そしてタラへと向かいます。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2005年12月2日付紙面掲載

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