- 音声ブラウザをご利用のお客様向けのリンクです。
- 本文へジャンプする
読者から「メバルはタケノコと一緒に煮付けにするとおいしいと本で読みました。このように特定の魚と相性がよい野菜などを組み合わせた料理を『出合い物』と言うそうです。庄内でよく捕れる魚と野菜の『出合い物』があれば教えてください。メバルは庄内でもやはり、春においしい時期を迎えるのでしょうか」という質問をいただきました。
出合い物とは京都の料理界の言葉で、「であいもん」と読むそうです。調べてみたら、イカとコイモ、タケノコとワカメ、生節と焼き豆腐、棒だらとエビイモなどが出合い物と出ていました。
特定の魚と野菜を一緒に料理する、または同じ皿に載って出てくることが多い魚と野菜の組み合わせは庄内にもあります。まず挙げたい魚はサクラマスです。酒田ではサクラマスにはゆでたニラが欠かせません。あんかけや煮物が添えられます。ニラが出回り始めるころ、マスもおいしいということから、「ニラ鱒」という言葉もあるそうです。鶴岡ならサクラマスには大根おろし、またはそうめんとゆで卵のあんかけでしょうか。鶴岡と酒田でサクラマスの付け合わせが違うというのも地域性の表れかもしれません。
次に思い浮かぶのはイナダより小さいブリの子・アオコとナスの煮つけです。夏場には欠かせない古里の味と言えます。地元で捕れる魚ではありませんが、ニシンにも出合い物があります。身欠きニシンと孟宗の煮物です。フキが添えられることもあります。香ばしいニシンに孟宗のえぐみが中和されるような感じがしてわたしは好きです。
今が旬の素材同士の出合い物としてヤリイカとアサツキをおすすめします。ヤリイカの刺し身に飽きたら、さっとゆでたヤリイカとアサツキをからし酢みそであえてみてください。早春らしい食べ方と言えるのではないでしょうか。アサツキと言えば、海藻のエゴとのあえ物が最もポピュラーな食べ方かもしれません。
庄内限定の素材ではありませんが、ブリと大根も出合い物と言えるでしょう。北海道ならサケとジャガイモを組み合わせた料理があります。地域の食文化に根ざした出合い物は全国各地にあるようです。質問にあったメバルですが、確かに孟宗と旬の時期が重なっています。庄内では春から夏にかけておいしくなります。
（鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一）
2009年2月6日付紙面掲載
当社サイト掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
