読者から「庄内でカレイと言えばクチボソが代名詞のようなものですが、素焼きで食べるぐらいで刺し身は聞きません。ヒラメと違って刺し身では食べられないのでしょうか。刺し身で食べられるおいしいカレイがあれば教えてください」という質問をいただきました。
カレイについてはこれまでも何度か質問が寄せられ、その都度取り上げてきました。庄内の人にとって関心が高い魚ということなのでしょう。クチボソの標準和名はマガレイですから、刺し身で食べることはもちろんできます。でも、庄内でクチボソと言えば、素焼きにしょうゆをかけるという食べ方が圧倒的に多いと思います。クチボソを刺し身で食べるという食文化は庄内では広まっていません。
全国的なブランドとなっている城下ガレイは、大分県日出町で捕れるマコガレイのことです。もちろん刺し身でも食べます。鶴岡でエンショウ(円正)ガレイ、酒田でネサシと呼んでいるカレイです。
クチボソを含め、多くのカレイが2月から3月にかけて産卵期を迎えます。産卵を終えた今は身がやせていておいしい時期とは言えません。
今、刺し身でおすすめできるカレイはメイタガレイです。鶴岡では目太ガレイと呼んでいます。メイタガレイは、西に行くほど高く評価され、それが価格にも反映されます。関東近辺では煮付けや塩焼きが多く、関西では活魚を刺し身にします。西日本では高級魚として扱われ、しかも消費量も多い魚のようです。
メイタガレイを料理する際、注意してほしいことがあります。皮に独特の臭みがあるのです。煮物や焼き物にする際にも皮を取り除いた方が良いと思います。この辺ではほかに揚げ物や田楽焼きにしても食べます。メイタガレイは、カレイの刺し身では最上級品だと思います。大きいサイズで新鮮なものを見つけたらぜひ試してみてください。
(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一)
2010年4月23日付紙面掲載