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ぶつ切りOKのアンコウ

フグは身だけでなく、皮もおいしいのです

読者から「ハタハタがおいしいだし汁が出るとこのコーナーに載っていたので、さっそく買ってみました。とてもおいしく食べることができました。寒くなってきましたが、ハタハタやタラ以外の地魚で、これから鍋物やお汁にぜひというものがあれば教えてください」という質問をいただきました。

一番おすすめしたいのはアンコウとフグです。どちらもこれからさらにおいしくなりますが、今は価格も安いので、ぜひ食べてほしいと思います。ただどちらも、小売店にとっては扱いにくい商品です。1匹丸ごと販売とはなかなかいかないからです。

フグはご存じの通り毒性が強く、素人がさばくのは禁物です。昨年も紹介しましたが、前もって魚屋さんに頼んでおくのがよいでしょう。小さいのは空揚げやお吸い物がおいしいと思います。料理屋さんで食べるフグはまた別物です。身だけでなく皮などもおいしいので、鍋だけでなく、いろんなバリエーションを楽しんでほしいと思います。

アンコウをさばくのは皆さんが思っているほど難しくはありません。アンコウで食べられないところは口だけです。左手に手袋をして口の突起物で手を切らないようにしてください。それさえ注意すれば、後はぶつ切りでOKです。寒ダラをさばくより簡単なくらいです。小ぶりのものを買って、よく切れる出刃包丁を使うと、そんなに難しくはありません。1匹丸ごと使いアンコウ料理に挑戦してみてください。

アンコウをおいしく食べるには肝をどうするかもポイントになります。スープのベースになるからです。温海など浜の方にアンコウのどぶ汁という水を使わない料理があります。最初に鍋で肝を溶き、それに切り刻んだアンコウを入れるそうです。アンコウが持っている水分が出てきたところでみそで味付けします。肝が溶けにくい場合は少し水を入れてもいいようです。肝はつぶすと、少し赤い感じの色になります。火が通ったところでネギを入れて食べます。アンコウのお汁は味が淡泊というイメージを持つ方が多いと思いますが、どぶ汁はかなり濃厚な味わいになります。寒ダラ汁は肝を刻んで入れ、アンコウは肝をつぶしてスープに溶かす。肝の使い方がおいしい汁の決め手です。

アンコウのスープ作りは肝の使い方がポイントになります

アンコウはゼラチンとコラーゲンを豊富に含んでいますから、老若男女、皆さんの体にいいし、寒いときは温まります。アンコウがもっと身近な魚として食べてもらえたらいいなと思います。

庄内浜で今捕れていて、汁物、鍋物に合うものにカジカとウマヅラがあります。ウマヅラも肝を使って汁物、鍋物にしたい魚です。むき身で出回るものが多く、なかなかないかもしれませんが、頭が付いたものを買ってみてください。簡単なさばき方をお教えしましょう。頭のとげが付いている部分に切れ目を入れて割いてやると、頭がポロッと取れます。そして手で皮をはぐのです。港では頭を取り、その場で肝を捨てています。今回は肝の使い方がポイントになる魚を紹介しました。次回はエビなどを取り上げます。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2006年10月18日付紙面掲載

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