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寒ダラ汁は肝が決め手

今回は、間近に迫った日本海寒鱈まつりとタラについてお話ししたいと思います。

今回の寒鱈まつりは、鶴岡と酒田が同じ日程になってしまいました。どうしてこうなったのか、私には分かりませんが不安です。両会場に足を運ぶ方もいるようです。鶴岡会場でも2軒、3軒とはしごする人もいます。そんな方たちが今年は鶴岡も酒田もというわけにはいかないでしょう。

昔は酒田の中町、鶴岡の銀座通りは大いににぎわったものでした。今ではシャッターが降りているところもあり、こういう機会でもないと、商店街が人でいっぱいにならないというのは残念です。寒鱈まつりが商店街の復興にプラスになればいいのですが。

寒鱈まつりがタラ全体の味を知る機会になってほしいと思います。名称は「寒鱈」ですが、実態はどんがら汁まつりというような気がします。子どもは、どんがら汁をあまり食べないのではないでしょうか。私も子どものころは寒ダラが好きではありませんでした。家ではしょうゆで煮付けた白子をご飯に山と盛られました。とてもいやでした。でも、今は高価なものになりました。寒鱈まつりは子どもたちも巻き込んで、いろんな食べ方を紹介する場にもなっていいのではないかとも考えます。

学校給食には寒ダラは出ないそうです。うまい時期のタラを使った料理を子どもたちに食べてほしいと思います。子どもたちはグラタンが大好きです。寒ダラの親子グラタンという料理を紹介しましょう。タラの身と白子をグラタンに入れるのです。牛乳、ホワイトソース、バターなどで味付けしてやります。サケやイカなど旬の魚介類をグラタンに盛り込むのは可能だと思います。わが家でもやっていて、子どもたちも喜びます。子どものうちに旬の物を食べ、大人になってタラ汁をうまいと思ってくれるようになるといいですね。

昨年も話しましたが、タラ汁にはそれぞれの家庭の味があり、これといった作り方があるわけではありません。私の家ではタラと岩ノリだけで、豆腐やネギ、大根といった具は入れませんでした。純粋に魚で勝負する時には、よいみそを使ってください。各家庭で新しいスタイルのタラ汁を模索してほしいと思います。わが家自慢のタラ汁を持ち寄る大会も面白いのではないでしょうか。

今年は暖冬ですが、積雪量とタラの購買欲は相関関係があるようです。鍋物、汁物はやはり寒い時に食べたいということでしょう。小売店さんも言っていましたが、タラの消費は伸び悩んでいるようです。寒鱈まつりは、寒い屋外で、しかも人がたくさん集まっているところで食べるからおいしいのでしょう。

料理屋さんに聞いたのですが、タラ汁は一匹丸ごとを使って作るのがおいしいそうです。小売では白子やアブラワタ、どんがらなど部分ごとにも売っていますが、部位によって漁場や産地が違う場合もあります。魚の味は食べている餌でも変わります。ちょっと値は張りますが、ぜひ一度タラを一匹丸ごと買って料理してみてください。

タラ汁の味は肝、つまりアブラワタが決め手になります。鮮度のいい肝を使ってください。鮮度は解体すると分かりにくくなります。マダラ模様というように、模様がはっきりし、つやがあるタラは鮮度がいいのです。ほかに死後硬直でピンとしているものを選んでください。くたっとしているのはだめです。大きさは4~7kgぐらいがおすすめです。でも、なんと言っても鮮度が決め手です。

寒ダラもたくさん揚がってきました

三陸産と日本海産のタラの比較では、日本海産がおいしいと言われます。輸送時間が短いに加え、日本海のタラの方が脂がのっていて、太平洋のは淡泊だという評価があります。寒ダラ汁にはアブラワタが大きくて脂ののりがいい雌のほうが向くようです。昆布締めの刺し身にする場合は、身が締まっている雄がいいようです。お父さんたちは白子がある雄の方が好きなようですが、子どもたちのことも考えれば、料理のレパートリーが広い雌を選ぶのもいいのではないでしょうか。気の利いた料理屋さんで出てきますが、生のタラコのしょうゆ漬けにヤリイカの刺し身を入れるとおいしいです。

子どもたちが、それまで好きでなかった寒ダラ汁がうまいと思う瞬間が来るかもしれません。週末の寒鱈まつりにぜひご来場ください。私も鶴岡魚商協同組合青年部のスタッフとして参加しています。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2007年1月19日付紙面掲載

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