読者から「魚の卵の大きさは親のサイズに比例すると思っていましたが、なぜタラコはあんなに小さいのでしょう。ハタハタよりも小さいというのは変な気がします」という質問をいただきました。
この場合のタラが、一般にタラコとして売られているスケトウダラを指すのか、マダラのことなのかは不明ですが、私は専門家ではないので、なぜ「タラコ」が小さいのかという疑問にはお答えできません。でも、親と卵の大きさは比例関係にあるとは私には思えません。例えば、人間でも体の小さいお母さんから大きな子どもが生まれることもありますから。
大手の水産会社にも問い合わせてみましたが、やはり「分からない」という返事でした。でもそこで、めんたいこについておもしろい話を聞いたので紹介しましょう。
めんたいこはご存じの通り、漢字では明太子と書きます。「明太」とは韓国語で「ミョンテ」と読み、スケトウダラの呼び名だそうです。日本語読みではめんたいことなり、その原型は韓国にあるのだそうです。日本のめんたいこはだし汁につけてあるなど原型とはかなり違ってきています。
めんたいこの歴史は意外に古く、昭和25年ごろに日本に入ってきたそうです。福岡のふくやという会社が韓国から持ち込んだのが始まりです。それから半世紀以上がたつわけですが、めんたいこは意外に昔からあったのだなと思いました。
残念なニュースがあります。庄内に春の訪れを告げる味といっていいコアミの話です。
コアミは、庄内浜に先駆けて、秋田県の象潟や金浦の港にたくさん水揚げされます。そのコアミが、秋田市内の小売店に出回った際、中にセンチュウ(線虫)がいたというので回収騒ぎに発展しました。秋田県の水産試験場などで検査したところ、人体に害を及ぼす可能性があるという結果が出ました。そしてコアミ漁自体が中止になったのです。
これが山形にも波及しました。3月初旬に山形県の水産試験場で検査し、秋田と同様の結果が出たため、漁協はコアミの取り扱いを中止することに決めました。
コアミ漁は、昔と変わらない形で続いています。それが今になって突然、こんな問題が発生したのです。センチュウは以前からコアミの中に混入していたと思われますが、食べても問題にはなりませんでした。コアミは小さいので、漁に使う網の目は細かく、センチュウが一緒にかかってしまうのはやむを得ないでしょう。でも、コアミを食べて腹をこわしたという話は聞いたことがありません。
時代の流れとはいえ、今までおいしく食べていたものが食べられなくなってしまうのはとても残念です。今後もこんな形で、慣れ親しんできた海の幸と決別しなければならない時が来るのかもしれません。ニシンを「春告魚」と言いますが、この辺ではコアミが春をわれわれに届けてくれる魚だと思います。それが食べられなくなるなんて…。皆さんはどう思いますか。
(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2007年3月16日付紙面掲載