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漁法で違うサンマの鮮度

今回は「オキギスという魚をスーパーで見ることがあります。つみれにして鍋に入れて食べますが、オキギスは正式名ですか。キスの仲間でしょうか。ほかにおいしい食べ方はありますか。つみれにするとおいしい地魚を教えてください」「新サンマが並び始めました。サンマを刺し身で食べられるかは鮮度次第だと思います。刺し身が可能かを見分けるポイントと、サンマの腹をこわさないで上手に焼く方法を教えてください」という2つの質問をいただきました。

サンマは、刺し網漁と棒受け網漁という漁法で捕ります。刺し網漁は、7月中旬から8月初旬までの初期に行われる漁法で、お盆前には終わります。棒受け網漁はサンマの群れが日本近海に来てから行うので、大量に、しかも魚体を傷つけず生きたまま捕ることができます。刺し網漁は、海中にわなをかけておく形になるので、水揚げまで時間がかかり、鮮度が落ちるという点は否めません。鮮度のポイントの一つは漁法とも言えると思います。

次に魚体から鮮度を見分ける方法をお教えしましょう。目の色が黒くて張りがあり、魚体につやと張りがあり、銀色に光るものが鮮度がよいと考えてください。脂の乗りについては、くちばしが黄色いものがいいと言われています。一般的に大型の方が脂乗りはいいですが、長さではなく横幅や太り具合で判断してください。長さが同じ場合でも、脂が乗っているのといないのとで重量が50gも違うということがあります。

サンマを焼く場合、鮮度の良いものなら腹が壊れるということはまずありません。刺し身にできるようなものを焼いてほしいと思います。サバやイワシなど青魚一般に言えることですが、鮮度が落ちると生臭みはもちろん、苦みを感じることもあります。イワシでも紹介しましたが、サンマのみそ汁もおいしいものです。ただし、やはり鮮度のいいものを筒切りにして頭と尾、はらわたを取り、食べる直前にネギを放してください。

オキギスの話に移ります。オキギスは地方名で標準和名はニギスです。年配の魚屋さんには先代ギスと呼ぶ人もいます。キスに外形が似ていて、陸から遠い沖で捕れるため、オキギスと呼ぶのではないかと私は思っています。また、キスの先祖という意味で先代ギスという名が付いたのかもしれません。キスとオキギスは似ていても科と目が違います。

この辺ではすり身にして売られているケースが多いかと思います。水揚げが多い能登半島とか山陰地方では干物にしているようです。大型のものは塩ふり焼きにしてもおいしいです。小さいものは開いて、天ぷらやフライなどにしてもいいでしょう。ただ、鮮度がいいことが条件です。すり身にする時はゴボウやニンジン、タマネギ、シイタケなどを入れてもいいと思います。ただ、オキギスの身の性質上、団子状に固まりにくいので、かたくり粉や塩、タラのすり身などをつなぎに入れた方がいいでしょう。

サンマがおいしい季節です。今年の出始めは脂が乗った大型のものが多いようです

このほか、地元で捕れる魚ではカナガシラのほか、ハラコダイとかカスゴと呼ばれる小さなコダイ、ホッケ、ホウボウ(ウツムギ)がすり身向きです。今の時期ならサケもいいと思います。うろこを取って三枚おろしにしてフードプロセッサーに入れると、小骨が気にならないぐらいになるようです。ぜひご家庭でおためしください。

庄内浜では9月から底引き網漁が始まります。例年、ハタハタ狙いで船は出ますが、初物はなかなか捕れません。鼠ケ関ならエンショウガレイ(マコガレイ)やアカエビ、スケトウダラ、ホッケがおすすめです。旬のクチボソがたくさん捕れるのは由良かもしれません。ハタハタとクチボソは2カ月の禁漁期間中、体に栄養をため込んでおいしくなっていると思います。これから地魚が本当にうまいという時期にさしかかってくるので、楽しみにお待ちください。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2007年8月28日付紙面掲載

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