今回は「カニが好きで、値段が手ごろなベニズワイガニを買って食べたりします。庄内浜では年間を通して捕れますか。ほかに庄内浜にはどんなカニが揚がりますか。旬も含めて教えてください」という質問を読者からいただきました。
ベニズワイガニは年間を通して捕れますが、庄内では加茂港に水揚げは限定されます。秋田、新潟、山北、寺泊、能生、境港などがベニズワイの水揚げ港として有名です。
ベニズワイは、かごに餌を入れて、その中に誘い込むベニかご漁という漁法で捕ります。漁場は、底引き網漁より沖合になるので、港から何時間もかけて捕りに行きます。毎日港に戻ることができないため、「沖泊まり」をすることになります。
ベニズワイは、ズワイガニ(本ズワイ)よりカニの身に繊維質があり、細かいのが特徴です。値段が手ごろで、1年を通して食べられるおいしいカニと言えます。加工して流通する機会も多く、身を取り除いて残った殻を肥料に使ったり、乾燥させて細かくして飼料に配合したりと、余すところなく再利用されているそうです。
庄内で捕れるカニは、ズワイガニ、毛ガニ、白ガニ、ワタリガニがポピュラーなところでしょう。ズワイガニ漁の解禁は、冬期間に限定されるので、旬は冬ということになります。毛ガニは冬から春にかけて、白ガニは需要期がひな祭りの時期で3月あたりが旬です。前に紹介しましたが、ワタリガニは「秋男春女」と言って、季節により雄と雌の旬が分かれます。これからの時期は雄がおいしいということになります。
庄内浜の状況について説明しましょう。9月に入り、トロール漁、つまり底引き網漁が再開されました。クチボソガレイは6月後半から9月が旬で、底引きの解禁後、注目される代表的な魚です。以前もお話したように、クチボソは年間を通して食べられますが、庄内浜で水揚げされたものの旬は今の時期ですから、皆さんにおすすめしたいと思います。
何年か前、外国船のコンテナが庄内沖に沈むという「事件」がありました。由良沖でコンテナの沈んだ場所がクチボソのいい漁場になっていたのだそうです。
今の時期は、岸から近いところにコダイやタイコなどの「赤物」がいて、もう少し沖合にエンショウガレイ(マコガレイ)やヒラメなどが生息し、その奥にクチボソがいるようです。底引き網漁が解禁されたばかりですが、クチボソの水揚げは大型が多く、天ぷらなどにする小型は少ないようです。
次回は、もう一方の主役であるハタハタを中心にお話しようと思います。
(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2007年9月11日付紙面掲載