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回遊魚と根付きの違い

読者から「南の海の魚が庄内浜で捕れているという記事が載っていました。サワラがおいしいということでしたが、ほかにもおすすめの魚があれば料理法や価格も含めて教えてください」という質問をいただきました。

今、タイムリーな魚と言えばやはりサワラです。ほかに挙げるとすればエボダイでしょうか。市場に来る魚は通常、3キロ、4キロ入りの箱に5匹とか6匹という単位で入荷します。しかし、エボダイはこのような形では流通しません。いろいろな魚がまじった箱に入っていることが多いのです。値段がつかない、つまり安いということになります。需要がないと言い換えてもいいかもしれません。庄内の人はエボダイを食べ慣れていないので、食べ方が分からないからです。エボダイの開きを産地から取り寄せてお客さんに売ったことがありますが、値段はけっこういいものでした。その魚の評価が高い地域では「高級魚」になるのです。

漁師さんは「今日はハタハタだ」などと狙いを定めて漁に出ます。初めから南の海の魚を捕ろうという人はいません。南方系の魚はたまたまかかったものと言ってもいいかもしれません。四季折々で出てくるので、その中でおいおいおすすめの魚を紹介していきたいと思っています。

魚はいろんな分け方ができますが、その一つに暖流系と寒流系という区別があります。カツオやタイ、サワラなどは暖流系、サケやサンマ、タラなどは寒流系です。回遊魚の場合、日本海を南下するものと北上するものとがあり、暖流に乗るのは北上しますし、寒流系は南下します。

これに対して同じ場所にとどまる魚をわれわれは根付きと呼びます。引っ越しが大好きな魚と「俺は鶴岡に残るぞ」というような魚がいるのです。庄内浜で見かけるようになった南方系の魚は回遊魚です。

庄内浜に揚がる南方系の魚で今おいしいのはエボダイです

すみかという点で言うと、サバは2種類に分かれます。ブランドになっている大分県の関サバは、佐賀関(さがのせき)一帯で生涯を終える根付きのサバです。しかし、このようなサバは例外で、一般的なサバは回遊魚です。

アジにも根付きと回遊魚がいます。根付きは体が黄色っぽく、回遊しているアジは黒っぽいので、よく見れば分かると思います。一般に回遊しない魚の方が、脂が乗っておいしいと言われています。たとえてみると、回遊魚はマラソン選手のように走り続け、常におなかをすかせているようなものかもしれません。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2007年9月26日付紙面掲載

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